知っておきたい!猫の食性と栄養学
目次
猫はどのような食性の動物でしょうか?必要とする栄養素は、人や犬と異なるのでしょうか?今回は猫の食性や栄養学について解説します。フード選びや与えるときの参考にしてください。
猫の食性って?犬とは違う?
食性とは、動物たちが食べ物を摂取する習性を意味します。食べるときの行動や、どのようなものを食べるかのなどを表すものです。では、猫はどのような食性なのでしょうか?
猫は完全肉食動物
猫は、「完全肉食動物」です。実は、犬も猫も同じ「食肉目」に属するのですが、犬は肉が多めの雑食。そのため肉や魚だけでなく、パンや野菜なども喜んで食べるのですね。野菜を食べる猫もたまにいますが、ほとんどの場合肉や魚を好むのではないでしょうか。
そのため犬と猫では、消化管の構造も異なります。小腸の長さを比べると、猫の小腸は犬の半分しかありません。
必要な栄養も犬と異なる
肉食の猫にとって、タンパク質を取ることは大変重要です。食事などから摂る必要がある「必須アミノ酸」は猫の場合は11種。ロイシン・イソロイシン・アルギニン・ヒスチジン・リジン・メチオニン・トリプトファン・フェニルアラニン・スレオニン・バリン・タウリンです。
タウリンが不足すると、目や心臓に影響が出てしまいます。キャットフードには適切な量のタウリンが配合されていますが、ドッグフードには配合されていません。「猫にドッグフードを与えないで」と言われるのは、このためです。もちろん、犬にキャットフードを与えるのもよくありません。
猫は動物タンパクのほかに、ビタミンAやナイアシンも多く必要とする動物です。雑食性の人間や犬は、緑黄色野菜に含まれるカロチンをビタミンAに体内で転換することができますが猫はできません。そのためビタミンAそのものを食べ物から取る必要があるのです。ただし、キャットフードをきちんと食べていれば不足したり過剰になったりする心配はありません。
猫は夕方と明け方に活動するハンター
猫は1匹で狩りをする動物です。獲物は主に、小さなネズミ類、小鳥、ウサギ、は虫類や昆虫。狩って、すぐその場で食べます。
小さなネズミや鳥から摂れるカロリーは約30キロカロリー。体重4キロの猫の場合、必要なカロリーは約320キロカロリーなので1日10回は狩りをする必要があります。セミなどの小さな昆虫なら、もっと頻回に狩らなくてはいけません。
ドライフードを置き餌しておくと、少しずつ食べるのは猫の特徴といえるでしょう。胃も小さいため、一度にたくさん食べることができません。
お母さん猫に教えてもらった味が好き
猫は、子猫時代にお母さん猫に食べさせてもらった味を好み、いつまでも覚えています。お母さん猫が狩ってきたネズミや小鳥などの獲物を食べさせれば、子猫はネズミや小鳥の味が好きになります。
お母さん猫が野良猫なら、獲物だけでなく残飯も持ってくるでしょう。唐揚げをよく持って帰れば、唐揚げの味を覚えるのです。人間に育てられた子猫は、そのときに食べたキャットフードの味が好きになります。
猫の食性を生かしたフードの与え方
猫の食性を生かしてフードを与えてみましょう。猫のストレスも軽減されるようになります。問題行動などトラブルが起きたときにも役立つので、試してみてください。
フードは総合栄養食を選ぶ
猫のご飯は、総合栄養食と表記されたキャットフードを選びます。総合栄養食のキャットフードは、猫の健康に配慮した栄養バランスになっています。栄養素の過不足の心配がありません。
ドライフードで狩りの疑似体験
フードを仕込むことができるおもちゃを利用して、猫に狩りの気分を味わってもらいましょう。おもちゃは複数用意します。それぞれにドライフードを少量入れ、部屋のあちこちに隠すだけです。
1日に与えるフードの量を計算して入れれば、太る心配もありません。わざわざおもちゃを買わなくても、穴を開けたペットボトルでも代用できます。
本来なら1日に何度も狩りをする猫。ねだればフードが出てくる、またはいつもフードが置いてある状態は少々退屈です。留守番をしている猫なら、なおさら刺激が少ないでしょう。フードを入れたおもちゃをあちこちに置くだけで、狩りをしたい気分が満たされてストレス解消になります。
ウエットフードで水分補給
ウエットフードは、水をあまり飲まない猫の水分補給に適しています。ネズミなどの獲物は、体の約60%が水分です。ウエットフードは獲物の食感にも似ているので、嗜好性も高く喜んで食べるでしょう。ほんの少し温めると、食いつきもよくなります。
レトルトパウチや缶詰入りなので、開封前なら保存にも適しています。水が貴重になる災害時の水分補給にもなるので、ストックしておくと安心です。
子猫時代にいろいろな味を経験
いろいろな味を経験しておくと、大人の猫になってからが楽です。災害、入院、病気などでフードが変わっても、すんなり受け入れてくれる可能性が高まります。
子猫を飼っている方は、さまざまなフードを今のうちに経験させておきましょう。ドライフードもウエットフードもどちらも経験させます。フードはいきなり切り替えるとお腹を壊すので、ほんの少しずつにしてください。
まとめ
完全肉食動物であり、ハンターでもある猫。必要とする栄養がバランスよく配合された、キャットフードを食べさせることは猫の健康維持に欠かせません。
また、1日に何度も狩りをする習性にあったドライフードの与え方をすることで、ストレス解消にもなります。ウエットフードは水分補給になるので、水を飲まないときなどに活用しましょう。
猫の食性や栄養学に合わせて、フード選びや与え方を工夫してみてください。