猫のために爪とぎ器を用意しているのにちっとも使ってくれない、そればかりか家具や壁、ソファなどでバリバリ爪をといで困っていませんか?ちゃんと爪とぎを使ってもらうコツや爪とぎ器設置のコツなども詳しく解説します。
猫はどうして爪とぎをするの?その理由とは
猫にとって爪とぎは欠かせない行動です。「爪とぎ」という言葉から「鋭くとがらせる」と思いがちですが、実はとがらせているだけではありません。爪とぎをする理由はほかにもあります。
古い爪をはがす「お手入れ」
猫が爪をといだあとに、古い爪が落ちているのを見てびっくりしたことはありませんか?猫は自分で爪をといで管理し、古くなった爪を取り除いてお手入れをしています。落ちていた爪はすでに古くなったもの。新しい爪は、木に登ったり、獲物をしとめたりすることができるよう鋭くとがっています。
臭いと傷のマーキング
猫の前足の裏には「臭腺」があります。爪をとぐことで、自分の臭いをつけています。やたらとお気に入りのソファや椅子で爪をとぐ行為の裏には「飼い主さんの匂いがするぞ、自分の匂いをつけておこう」という理由があるのかもしれません。
臭いだけでなく、ひっかき傷をつけることもマーキングです。視覚的なマーキングは猫の縄張りの主張や飼い主さんや他の猫へのメッセージもあるようです。
ストレス解消として
イライラやストレスを感じると、猫は爪をといでストレス発散することも。爪とぎをすることで、自分自身を落ち着かせようとしています。多頭飼いなどで他の猫とケンカしたあと、爪をとぐ猫の姿を見たことがあるかもしれませんね。
伸びと同時に爪とぎ
寝起きに伸びをして、そのまま爪とぎをしていることもあります。これから活動するぞ!という気持ちの表れかもしれませんね。
飼い主さんの注目を浴びたい
飼い主さんの注目を浴びようと爪とぎをすることもあります。猫が爪とぎをするたびに「かわいくてつい見てしまう」「いい子だねと声をかける」ということを繰り返していると「爪とぎをすると飼い主さんがこちらを見てくれる、注目してくれる」と猫は学習します。
家具や壁で爪とぎをする猫には
せっかく用意した爪とぎを使わず、どうして家具や壁で爪を研いでしまうのでしょうか。爪とぎは猫の本能です。そのため爪とぎをやめさせることはできません。無理に爪とぎをさせないことは、猫の正常な行動を侵害していることにもなってしまいます。家具や壁で爪とぎをするたびに、怒ったり叩いたりすることも絶対にしないでください。
どうしても爪を研いでほしくない場所は「ツルツル」に
猫の爪とぎ防止シートを貼って、爪をとげないようにしておきます。いつも爪をといでいた場所を「ツルツル」にして爪が引っかからないようにすることがコツです。
カーテンやソファには合成フェロモンも
布類にはシートを張ることができません。猫用の合成フェロモンスプレーがあるので、スプレーしておくと効果が出る可能性があります。かかりつけの動物病院で相談してみましょう。
様々な爪とぎを複数設置する
爪とぎをする家具や壁周辺に爪とぎを複数設置します。1個ではなくいくつか用意しておきましょう。また普段猫がくつろぐ場所、部屋から部屋への移動のたびに通るドア近くの壁なども爪とぎポイントです。
市販の爪とぎには
・ダンボール
・麻縄を巻いたもの
・木でできたもの
などいくつか種類があります。猫よって好みがあるので、数種類用意してみてください。
爪とぎ設置のコツ「壁に掛ける」「床に置く」
爪とぎスタイルも猫によってさまざま。床に置いただけでは、満足しないこともあります。立って爪をとぐのが好きな猫には、壁に掛けられる爪とぎ器を用意します。体を伸ばして爪をとぎやすい高さに設定してあげましょう。
床に置いた爪とぎ器の場合、爪をとぐたびにずれてしまうと猫が嫌がります。固定して動かないようにしましょう。
爪とぎのたびに騒がない
爪をとぐたびに「ダメ!」「やめて!」など騒ぐことは、猫に「爪とぎは飼い主さんの注目を浴びる行動でもある」と学習させてしまいます。「普通の爪とぎでは静かなのに、壁で爪をとぐと飼い主さんがすっ飛んでくる」となると、やたらと壁で爪をといでしまう可能性も。ぐっとこらえて、知らんぷりをすることも大切です。爪とぎ中の猫を見るのも我慢します。
猫を観察してみよう
あちこちにいろいろなスタイルで爪とぎを設置したら、そっと猫の行動を観察してみましょう。「ダンボールタイプが好きだと思っていたのに、麻縄爪とぎの方がよく爪をとぐ」「玄関近くの爪とぎをよく使う」など思いがけないことがわかるかもしれません。
ストレスによる爪とぎに注意
いらいらして爪とぎをする猫については、原因となるストレスを解消してあげることも重要です。飼い主さんとの遊びが少なくないか、多頭飼いで他の猫にいじめられていないかなど確認してみてください。
爪とぎは爪とぎ器で思う存分やらせてあげよう
爪とぎは猫の本能なので、いつも好きな時に爪とぎができるように飼い主さんが設定してあげる必要があります。不適切な場所での爪とぎは、爪とぎ器へ移行させましょう。対策をしても治らない場合は、何かストレスが隠されているかもしれません。かかりつけの動物病院で相談しましょう。
参考文献
「猫が幸せならばそれでいい」入交眞巳著 小学館
犬と猫の問題行動の予防と対応 水越美奈監修 緑書房