猫を飼っていると「もう1匹飼うとうちの子が喜ぶのでは」とか「保護した子猫を見捨てられない」と、複数の猫を飼う機会があるかもしれません。多頭飼いで猫たちが仲良くくっついて眠る様子は、幸せそのもの。しかし猫同士にももちろん相性があります。すでに多頭飼いをしている方も、これから多頭飼いをしたいと思っている方にも多頭飼いのポイントを解説します。
猫同士をいきなり一緒にしない
猫は環境の変化が苦手です。今まで1匹で過ごしていた猫に「新しいお友達だよ」といきなり新しい猫を会わせることは避けましょう。
会わせる前には避妊・去勢手術をしておく
多頭飼いをする際は、猫が増えすぎることを避けるためにも必ず避妊・去勢手術をしておきましょう。避妊・去勢をしておくと、おだやかに過ごせるメリットもあります。子猫の場合は、いつ手術をするか獣医師に相談しましょう。
新しい猫は別の部屋でケージに入れる
最初は別の部屋に新しい猫をケージに入れて様子をみてください。ワンルームの場合は大きめの布でケージを覆っておくといいでしょう。猫は慣れない場所では怖がることもあるので、外が見えない方が落ち着きます。
新しい猫の姿を遠くから見せる
なんとなくお互いに存在を感じ始めたなと思ったら、姿を見せてあげます。できれば少し距離を置いた場所で見せてあげると安心です。その際にどちらの猫にもほめながら「とっておきのおやつ」を食べさせます。するとどちらの猫も「この猫といるといいことがある」と思ってくれるようになります。
威嚇せず落ち着いているようでしたら、ケージから出してみてください。そのときも「とっておきのおやつ」を与えましょう。
猫グッズは猫の数だけ揃える
猫同士仲良く使ってほしいと思うかもしれませんが、トイレ・食器・おもちゃ・ベッド・爪とぎ・キャリーバッグなど猫グッズは猫の数だけ揃えてください。猫それぞれのリラックスできるグッズと空間を与えてあげることが、猫のストレスを減らすことにもつながります。
くつろぐスペースも猫の数だけ用意
特に相性があまりよくない猫たちの場合は、それぞれの猫たちが適度な距離を置いて過ごせる場所を確保してあげたいもの。そこにはお気に入りのベッドを置いてあげましょう。部屋の広さに余裕があれば、キャットタワーも複数あるといいかもしれません。
トイレは特に重要
1つのトイレを複数の猫で使うと、清潔を保つのも難しくなります。猫たちもストレスが溜まるでしょう。また血尿が出ている、下痢をしているなど体調不良の猫を見つけにくくなることもあるので、猫の数プラス1個は用意してあげましょう。それでも人気のあるトイレが出てきやすいようです。猫たちに人気のないトイレは、何らかの原因があるので置き場所などを見直してください。
飼い主さんと遊ぶ時間もとる
猫同士が遊んでいるから一緒に遊ばなくてもいいと思わず、飼い主さんも一緒に遊ぶ時間をとりましょう。
仲良しはくっついて寝る?
身体をくっつけて寝ていれば、かなりの仲良し。相性も抜群といったところでしょう。
ただ飼い主さんご自身、いくら家族で仲がよくても四六時中しょっちゅうくっついて過ごすことはほとんどないでしょう。猫も同じように考えてみるとわかりやすいです。ケンカはしないけれど寝るときは別々、という猫同士でも決して相性は悪くありません。お互いが快適な距離をとって過ごしていると理解してあげましょう。
仲が悪い場合は…
猫同士で威嚇してしまう、本気でケンカを始めてしまいそうなどという場合、残念ながら相性はよくないと言えます。お互いの存在がストレスになってしまうと、被毛を舐めすぎたり、食欲が落ちたりしてしまう危険性もあります。次のような対策をとってみてください。
猫同士が過ごすスペースを離す
相性があまりに悪い場合は、なるべく猫同士が顔を合わせないよう環境づくりをしてあげましょう。複数の部屋がある場合は、別の部屋で過ごすようにスペースを作ります。
1階と2階で過ごす場所を分けるのもいいでしょう。ワンルームなど別の部屋で過ごすのが困難な場合では、ケージに布をかけるなどして落ち着くスペースを作ります。
行動にくわしい獣医師に相談する
いろいろ環境づくりをしてもストレスが溜まっている、体調不良になったという場合は動物病院を受診しましょう。隠れた病気がある可能性もあります。また猫の行動学にくわしい獣医師に相談することもおすすめです。
猫たちに過度な期待をしない
猫同士がくっついて寝たり、一緒に仲良く遊ぶ姿には癒されます。しかし猫は犬と異なり、もともと単独行動をする生き物。相性が悪いのは、どちらかの猫が悪いのではありません。
猫たちに過度な期待をかけないようにしましょう。ぴったりくっつかなくても、猫同士があまりケンカもせず、楽しく元気に暮らすことができれば十分と思っておくと意外とうまくいきます。多頭飼いではどの猫にも飼い主さんがたっぷり愛情を注ぐこと、責任をもってしっかり飼うこと、これが最も大切なことです。