アメリカンコッカースパニエル【American Cocker Spaniel】
原産国 |
アメリカ |
体重 |
11kg~13kg |
体高 |
36cm~38cm |
グルーブ |
8G |
特徴
鳥獣犬の中では最も小さい犬種で、頭部と胴体のバランスがよくとれています。がっちりとした筋肉質な体型で、丸い頭に長く厚い耳が垂れているのが特徴的です。
絹糸のような美しい被毛は、ダブルコートで毛量が多く、耳、胸、下腹、四肢には飾り毛があります。
性格
陽気で人懐っこい性格です。初対面の人にもすぐに懐いてしまうほど明るく社交的なので、アメリカではメリー・コッカー(陽気なコッカー)と呼ばれることもあります。興奮し過ぎることは少なく、賢いので飼い主の言うことを理解することが出来ます。
毛色
毛色は、黒やレッド(明るい茶色)、チョコレート色、クリーム(黄褐色)などがあります。タン・ポイント(違う色の斑)、パティーカラー(2色以上の毛色)や、トライカラー(黒×白×茶色の3色の毛色)の犬もいます。
育て方
食いしん坊で太りやすい犬種なので、肥満予防のために毎日1時間程度の散歩を行ってください。運動が大好きなのでドッグスポーツなどを取りいれても良いでしょう。
人なつっこい性格なので家族と多くの時間を過ごせると喜びます。逆に留守番の時間が長いと問題行動を起こすようになることがあります。
ダブルコートで毛量も多いので、美しい毛並みを保つためには毎日のブラッシングや定期的なトリミングは欠かせません。カットスタイルは足先に向かって毛のボリュームを広げるスタンダードスタイルが人気です。
気をつけたい病気
長い毛が目に入りやすく、目の周りの皮膚もたるんでいるため、結膜炎、チェリーアイ、緑内障、白内障など眼の病気にかかりやすいと言われています。
耳と皮膚のトラブルが多く、脂漏性皮膚炎、外耳炎などにもかかりやすいと言われています。毎日のお手入れを丁寧に行うことが予防になります。
歴史
1620年、イギリスからメイフラワー号でアメリカへ最初の移民がやってきた時に連れてこられた2頭の犬のうちの1頭がコッカースパニエルだったと言われています。その後も移民のたびにコッカースパニエルがアメリカへ連れてこられましたが、その中に猟用とはタイプの違う愛玩用の犬が含まれていて、この犬がアメリカンコッカースパニエル誕生の元となりました。愛玩犬として改良が続けられた結果、イングリッシュコッカースパニエルとは異なる顔立ちや被毛の美しさが際立つようになり、18世紀後半以降はドッグショーで大活躍しました。1945年になってアメリカン・ケンネル・クラブは、イングリッシュコッカースパニエルとアメリカンコッカースパニエルは別犬種であると決定しました。
その後、ディズニー映画「わんわん物語」の主役、レディのモデルとなったことがきっかけで世界中に知られるようになり、幅広い世代に愛されています。
グレートピレニーズ【Great Pyrenees】
原産国 |
フランス |
体重 |
50kg~60kg |
体高 |
65cm~81cm |
グルーブ |
2G |
特徴
巨体で骨格が強く力強い体ですが、しなやかな柔軟性もあります。重量の割に軽快なフットワークで優雅な気品を備えています。垂れ耳、垂れ尾で、ダブルコートの豊かな毛に覆われています。
性格
温厚な性格で、家族には愛情深く従順です。しかし、自分のテリトリーを守る意識が強いので、見知らぬ人には警戒心を抱き、唸ったり吠えたりすることがあります。利口ですが頑固な面もあるので、しつけには時間がかかります。
毛色
真っ白な毛色が印象的ですが、白い毛色にグレー(アナグマの毛色)や、薄いイエロー、ウルフカラー、オレンジの斑が、頭部、耳、尾の付け根にあるものもあります。体にいくつかの斑が見られることもあります。
育て方
超大型犬なので、生活環境として広々とした庭や遊びスペースは必須条件です。
頑丈でエネルギーがあり遊び好きでもあるため、毎日十分な運動が必要です。朝晩で2回、1回1時間以上のお散歩をさせてあげましょう。
暑さに弱い犬種なので、夏場の散歩は朝晩の涼しい時間に行い、室温も常に適温に保つようにしてください。
自分の判断で行動できる犬なので、飼い主がしっかりとリーダーシップを持たなければ指示に従わなくなることがあります。子犬の頃から、きちんとしたしつけや訓練を行いながら信頼関係を作っていく必要があります。頑固な性格なのでしつけには時間がかかりますが、根気強く教えればきちんと覚えてくれます。
ダブルコートで体も大きいので普段から下毛は相当抜けます。できれば毎日ブラッシングで抜け毛を取り去ってあげてください。夏場は熱中症対策のためにもトリミングを行うと良いでしょう。後ろ足の足首あたりには、狼爪と呼ばれる黒っぽいツメがあり、伸ばしておくと引っかかりやすく、食い込んで歩行の負担となることもあるため、月に1?2回程度カットする必要があります。
気をつけたい病気
比較的丈夫な犬種ですが、命にかかわる病気を発症しやすいという面もあります。日頃から状態をよく観察し、定期的に健康診断を受けると良いでしょう。
股関節形成不全は成長期によく見られます。遺伝が一つの原因となっているので、親犬が股関節形成不全になっていないかを事前に確認しておくことが大切です。
胃拡張・胃捻転症候群は、緊急性が高く死に至るおそれがあるため、腹部が膨れる、嘔吐する、ゲップが頻繁にでる、呼吸が荒くなるなどの症状が見られたら早めに獣医師に診てもらいましょう。
骨肉腫は、骨にできる悪性の腫瘍で、大型犬がなりやすいと言われています。転移が速いので早期発見が非常に重要です。
歴史
非常に歴史の古い犬種で、祖先犬は中央アジアの超大型犬チベタン・マスティフと言われています。チベタン・マスティフは地中海を経てスペインからフランスへ移る途中で土着犬と交雑し、紀元前100年頃にはこの犬種が誕生したと考えられています。そしてフランスとスペインを隔てるピレネー山脈で、牧羊犬や番犬として飼われてきました。17世紀に入り、その大きな巨体と警戒心の強さで、家畜を狙う熊や狼を追い払う活躍ぶりが評判となり、護衛犬としてフランスの宮廷に迎えられます。国王ルイ14世やマリー・アントワネットが気に入り、フランスの王室犬にもなりました。犬好きで知られるイギリスのビクトリア女王も、1850年頃にピレニーズを所有したといわれています。
その後、狼や熊などの野生動物が減り、上流階級でも犬による護衛が行われなくなると、一時は絶滅寸前までに個体数が減少してしまいます。しかし、絶滅の危機を恐れた愛犬家達によって、わずかにピレニー山脈に残っていたグレートピレニーズを基礎として懸命な繁殖が行われました。1885年最初にイギリスで公認の犬種として登録され、その後世界各国に広まり、ジャパンケネルクラブには1961年に登録されています。現在は牧羊犬や番犬だけでなく家庭犬としても各国で愛育されています。
ロットワイラー【Rottweiler】
原産国 |
ドイツ |
体重 |
牡50㎏、牝42㎏ |
体高 |
牡61cm~68cm、牝58cm~63cm |
グルーブ |
2G |
特徴
がっしりとした骨格と逞しい筋肉を持ち、体つきは精悍です。マズルは太く、顎の力は強靭で120㎏もあると言われています。しっぽは飾り毛の少ない先細りの垂れ尾ですが、断尾され短くなっています。しかし近年は動物愛護の観点から生まれたままのしっぽを残すことが増えてきています。光沢のある被毛は短毛のダブルコートで、まっすぐな硬い毛が密生しています。
性格
利口で従順です。家族に対しては愛情に富んでいますが、見知らぬ人に対しては慎重な態度をみせます。大胆で勇気があり、警戒心も備わっているので、番犬として理想的です。力の強い大型犬なので、人間社会で暮らすために必要なルールをしっかりと覚えさせることが大切です。
毛色
毛色はブラックで、輪郭のはっきりとした黄褐色のタンのマーキングが、両目の上、頬、マズル、胸、四肢、尾の付け根などに見られます。
育て方
ドイツでは危険犬種のリストに入っていますが、本来は攻撃性のある犬種ではありません。ただし、防衛心が強いため家族を守ろうとするあまり攻撃的になることがあります。このようなことが起こらないようにするためには、この犬種に対する深い専門知識を持つことと、躾の徹底が必須です。子犬の頃から多くの犬や人と触れ合うことにより社会性を育てながら、待て・止まれ、噛み癖などのしつけをしっかり行ってください。
体力があるので毎日運動を行う必要があります。少なくとも毎日1~2時間以上の散歩を行いましょう。力が強く大人の男性でも引きずられてしまうことがあるので、リーダーウォーク(飼い主の前を歩かない)を子犬の時からしっかりと覚えさせてください。
抜け毛は少ないので被毛の手入れは楽な方です。定期的にブラッシングを行ってください。
気をつけたい病気
骨肉腫は、発症の原因がわかっていないため予防は難しいとされています。発症すると足に硬いコブのようなものができて腫れあがり、痛みのために足を引きずって歩いたり、かばうようにします。軽症の場合は手術できますが、重篤になると足を切除しなければなりません。
股関節形成不全は、大型犬が発症しやすい病気です。発症した場合には、痛みのために腰を振って歩くようになります。原因は遺伝や肥満、過度な運動などといわれているので、適切な食事と運動を心がけてください。
前十字靭帯断裂は、発症すると足を引きずって歩くようになります。原因は肥満や過度な運動といわれているため、食事と体重の管理と運動をさせ過ぎないことが大切です
胃拡張胃捻転症候群は、早期治療が大切です。食後に激しい運動をしたり、早食いをしたりすることが原因で起こるので、予防のために食事は少量ずつ与え、食後にしっかりと時間を取ってから運動させるようにしてください。
歴史
最も古い犬種の1つとして考えられていて、祖先犬はローマ帝国が中央ヨーロッパに侵攻する時に兵士の食料となる牛の群れを統率していたチベタン・マスティフだと言われています。やがてドイツのロットワイルという町に定着して、牧羊犬、牧畜犬として改良され、その能力を高めていきました。
20世紀に入ってから犬に家畜をリードさせたり荷物を引かせたりすることが禁じられたため、一時絶滅の危機に陥りましたが、優れた体力と勇敢さ、忠誠心を評価されて再興されました。その後、警察犬、軍用犬、山岳救助犬として世界中で大活躍しました。現在でもアメリカやヨーロッパでは多くの人達に愛されている人気犬種です。
日本ではあまり見かけない希少犬種ですが、特殊使役を担う優れた犬として様々な場面で活躍をしています。
犬名は、長い間育種されてきたドイツのロットワイルという町の名にちなんでいます。
ラフコリー【Rough Collie】
原産国 |
イギリス(スコットランド) |
体重 |
56cm~61cm |
体高 |
22㎏~30kg |
グルーブ |
1G |
特徴
気品の高い優雅な容姿を持ち、均整の良くとれたスマートな体型をしています。細長いマズルに先の折れ曲がった立ち耳、ふさふさした垂れ尾、手足の豪華な飾り毛が特徴的です。豊かで光沢のあるまっすぐな被毛はダブルコートで、歩くたびにふわふわと揺れる姿はとても上品です。
性格
明るく穏やかな性格で誰にでもやさしく接します。飼い主には忠実で非常に賢いため、しつけにも苦労しません。感受性が強く周囲の状況に敏感な面があるので、飼い主の気持ちを汲みとってくれますが、怒られたりするとストレスを感じやすいようです。
毛色
毛色はセーブル&ホワイト、トライカラー、ブルーマールの3色が公認されていますが、全体がホワイトで頭部や体の一部にだけ上記3色の毛色がある個体も存在します。
育て方
牧羊犬として活躍していた犬種なので沢山の運動が必要です。毎日1時間程度の散歩のほかに、時々ドッグランで思い切り運動させてあげると良いでしょう。力が強い犬なので、コントロールやトレーニングが必要になります。飼い主にある程度飼育経験があることが望ましいでしょう。
非常に賢く、人と接するのが大好きなので、コミュニケーションを密にとって信頼関係を築いていくと良いでしょう。ストレスを感じることも少なくなります。
長毛のダブルコートで抜け毛は多いので、毎日ブラッシングをしてあげると良いでしょう。
気をつけたい病気
コリーアイ症候群は、この犬種独特の遺伝性の眼疾患で、失明することもある病気です。遺伝性の疾患は、未然に防ぐことは難しいですが、病気についての知識を持ち、早期発見・早期治療に努めることが大切です。
ほかに進行性網膜萎縮症、股関節形成不全、胃がんなどにもかかりやすいと言われています。
歴史
起源については、よくわかっていませんが、過去数百年に渡ってスコットランドのハイランド地方の山岳丘陵地帯で牧羊犬として活躍していたと言われています。アングロサクソン語で「黒」を意味するコリーと呼ばれ、牧羊犬も黒い毛色が多かったためコリー・ドッグと呼ばれるようになり、その後そこから犬種名が生まれました。19世紀には、毛の長いラフコリーと、短いスムースコリーがいたことが知られています。ラフコリーとスムースコリーは、交配が重ねられてよく似た容姿を持つようになり、同じ犬種と考えられていましたが、近年は、もともと全く別の犬種だったと考えられています。
1860年頃、ビクトリア女王がスコットランドで見かけたコリーたちを気に入り、スムースコリーを連れ帰りました。イギリスでは女王が愛好する犬ということからスムースコリーに注目が集まると同時に、ラフコリーも広く知られるようになり、スムースコリーより穏やかで落ち着いていることから、牧羊犬としてではなく上流階級のペットとして愛されるようになりました。
その後アメリカに渡り、余裕があるアメリカ人たちの住宅事情にもマッチしたことから、上流階級などの富裕層に飼われるようになります。20世紀には映画やテレビドラマの「名犬ラッシー」が世界的に大ヒット、ラフコリーのラッシーは賢く優しい犬として人気が急上昇し、一般家庭でも飼える犬として広く飼育されるようになり、日本にも広まっていきました。現在でも世界的に常に人気のある犬種で、安定した人気を保っています。
日本スピッツ【Japanese Spitz】
原産国 |
日本 |
体重 |
9kg~11kg |
体高 |
牡30cm~38cm、牝は牡よりやや小さめ |
グルーブ |
5G |
特徴
とがったマズルと三角形の立ち耳を持ち、豊富な純白の毛におおわれ、ふさふさとした尾を背負っています。体高と体長の比率は10対11で、全体的なバランスがよく犬種独特の優美さを持っています。
性格
日本で大流行した1950年代当時は無駄吠えがひどいと言われていましたが、その後の選択繁殖による育種でその性格は改善され、近年は穏やかで人なつっこく好奇心旺盛な性格の個体が増えてきています。飼い主や家族に対しては従順で忠実、しっかりしつけをすれば他の動物とも上手に付き合うことが出来ます。
毛色
純白以外のカラーは認められていません。
育て方
活発なので散歩は1日30分以上を2回を目安に行ってください。毎日十分な運動をすると精神的にも安定します。散歩以外にもドッグランで走らせたりドッグスポーツをしたりするのも良いでしょう。
賢く物覚えがよいのでしつけはしやすい犬種です。近年性格はかなり改善されましたが、環境によっては神経質になることがあります。子犬の時から外へ連れ出したり社会性を養うために他の犬と遊ばせるようにすると良いでしょう。
豊かな長毛なので手入れは大変です。ダブルコートで抜け毛が多く、特に換毛期は驚くほど抜けるので、ブラッシングは最低でも週に3~4回は行ってください。
毛が豊富なため、熱中症にならないよう室温を管理し、常に水が飲めるようにしておくと良いでしょう。
気をつけたい病気
流涙症、皮膚病、膝蓋骨脱臼などにかかりやすいと言われています。
流涙症は予防できないので目の周りが変色してきた時は早めに病院に連れていきましょう。
毛が多いためブラッシングを怠ると通気性が悪くなり、膿皮症、落葉状天疱瘡、全身性紅斑性狼瘡、アレルギー性皮膚炎などの皮膚疾患を起こしてしまう可能性があります。定期的なブラッシングなどのお手入れが早期発見・早期治療につながります。
膝蓋骨脱臼は、ひざの膝蓋骨が外れてしまう病気です。予防のために、室内にマットを敷いたり階段の少ない散歩コースを選ぶなど、足に負担をかけないように気を付けることが大事です。
歴史
1920年頃に日本に輸入されてきたと言われていますが、祖先犬については諸説あり詳しいことはわかっていません。ジャーマン・スピッツかアメリカン・エスキモー・ドッグ、ボルピノ・イタリアーノなどの白いスピッツ系の犬種を交配して、小型に改良したものと推定されています。
戦後、毛並みが美しく番犬としても使えることから、お金持ちや愛好家の間で人気が急上昇し、1958年には年間登録犬数でトップを獲得しました。しかし、当時の日本は犬を屋外で飼うことが多かったことやしつけに関する意識が浸透していなかったこともあって、飼いにくさから人気は徐々に衰えていきました。しかし、その後、熱心な愛犬家たちの手によって、吠え癖が少なくなるように長い時間をかけて丁寧な繁殖が行われました。その結果、性格が改良され、大人しく穏やかな日本スピッツがどんどん増えるようになりました。飼いやすくなったため日本での人気も回復傾向にあり、海外での人気も高まっています。
ビションフリーゼ【Bichon Frise】
原産国 |
フランス |
体重 |
5~6kg |
体高 |
30cm以下 |
グルーブ |
9G |
特徴
小型の愛玩犬の中では骨量や筋肉量が豊富で体がしっかりしているので小さいながらも逞しさがあります。快活な歩き方や動作が特徴的です。
豊かな絹糸のような被毛はダブルコートで、上毛は粗めの巻き毛、下毛は細く柔らかな毛です。綿菓子のような丸いカットスタイルはビションフリーゼ独特のもので、パウダー・パフと呼ばれます。
性格
陽気で快活、フレンドリーな性格なので、初めて会う人や他の犬とも仲よくできます。賢く素直なのでしつけはしやすく、飲み込みも早いほうです。反面、わがままなところもあり、自分が中心じゃないと気が済まないというような態度をみせることもあります。
毛色
毛色は純白の1色だけです。子犬の頃は、足の先や耳などに薄いベージュの被毛がある場合がありますが、成犬になるまでにはほとんどが真っ白へと変化していきます。
育て方
小型犬としてはかなり体力があり、体もしっかりしているので、毎日朝夕15分程度の散歩のほか、室内でもおもちゃでたくさん遊んであげてください。
純白の被毛が魅力の犬種ですから、毎日やさしくブラッシングをしたり、定期的にシャンプーをして、美しい状態を維持してあげましょう。パウダー・パフのスタイルは、トリミングのプロでなければ作ることが難しいので、少なくとも月に1度はプロにトリミングしてもらわないと維持できません。
気をつけたい病気
純血種の小型犬ですが、遺伝病が少ないといわれています。
尿路結石症にかかりやすく、尿管が詰まって排尿ができなくなると最悪の場合は短い間に死に至ることもあるので、早期発見が重要です。
膝蓋骨脱臼などの関節のトラブルを起こしやすい犬種なので、滑りやすいフローリングの床にはマットを敷いたり、高いところから飛び降りさせないなどの注意も必要です。
ほかに、皮膚病なども起こしやすいといわれています。
歴史
地中海沿岸で漁の手伝いをしていたウォータースパニエルという犬と白い小型犬を掛け合わせて作られたといわれています。この掛け合わせからビション・タイプ と言われる4種類の犬が作出され、そのうちの1つがのちにビションフリーゼとなるテネリフェという犬です。テネリフェはスペインの船乗りたちの手によってカナリア諸島のテネリフェ島に持ち込まれ、その名前が付けられました。
14世紀には、テネリフェ島からイタリアへ持ち込まれ、イタリアの貴婦人を中心に人気を博し、16世紀にはフランスへ広まり、フランシス1世やアンリ3世など王室にも好まれました。また、さらに小型化が進んで洗練された容姿を持つようになりました。17、18世紀には、ヨーロッパ中の貴族に愛され、多くの画家が王や貴族に付き添うビションフリーゼの姿を描いています。しかし、フランス革命では“貴族の犬”という理由で多くのビションフリーゼが処分されてしまいました。今まで貴族たちによる手厚い保護を受けることにより純粋な血統が守られていましたが、19世紀後半には一般大衆にも飼育されるようになり、様々な種類の犬との掛け合わせが進んで、第1次世界大戦の頃には純粋な血統のビションフリーゼは絶滅寸前となってしまいます。
しかし、フランスの繁殖家によって血統を復元する動きがあり、1933年にはビションフリーゼと改名、翌1934年フランスのケンネルクラブで公認されました。1950年代にアメリカへと紹介され1960年代に「パウダー・パフ」という独特のカットスタイルが考案されてから爆発的な人気を得て、1973年にアメリカンケネルクラブに公認されました。現在は日本でも愛好家を中心に人気が高まっています。
シェットランドシープドッグ【Shetland Sheepdog】
原産国 |
イギリス |
体重 |
6kg~12kg |
体高 |
33cm~41cm |
グルーブ |
1G |
特徴
体長が体高よりやや長く、体は筋肉質です。鼻は長く上品な顔立ちで、耳は前方に向いており先端を前に垂らして半直立を保っています。被毛は手触りの粗い長毛で、首から胸にかけて襟巻のような豪華な飾り毛があります。外見がコリーによく似ているため「小型のラフ・コリー」と呼ばれることもあります。
性格
明朗で活発、飼い主に対しては愛情深く従順です。反面、警戒心が強いため見慣れない人や物音に敏感に反応して吠えてしまうことがあります。もともと牧羊犬ということだけあって大変賢く、訓練性に優れており、責任感も強い犬種です。
毛色
毛色は、セーブル、トライカラー、バイブラック、ブルーマール、バイブルーの5種類が公認されています。よく見かけるのはセーブルとトライカラーです。色の範囲や模様には個体差があるので、同じ毛色でも少しずつ印象が違います。
育て方
活発で遊ぶことが大好きなので、毎日1時間以上の散歩に加えて、ボールを使って遊んだりドッグスポーツに挑戦したりするのも良いでしょう。運動不足でストレスがたまると、無駄吠えの原因となることがあるので注意が必要です。
被毛はダブルコートで、換毛期以外もよく抜けるので、普段は週に1~2度、換毛期は毎日ブラッシングをしてあげてください。胸の飾り毛の部分はもつれやすいので、毛の流れに沿ってやさしくブラシをかけてあげましょう。
気をつけたい病気
コリーアイ症候群は、先天性疾患で網膜剥離や眼房内出血を起こします。また、免疫介在性による角膜炎にかかりやすいといわれており、発症すると角膜に色がつく、涙がふえる、目がしょぼしょぼするなどの症状がみられるようになります。
他に、てんかんや犬家族性皮膚筋炎、淡色被毛脱毛症などの皮膚病、股関節形成不全などの関節疾患も起こりやすい傾向にあります。
歴史
イギリス・スコットランド地方のシェットランド諸島原産の牧羊犬です。その歴史は非常に古く、ラフ・コリーやボーダー・コリーと同じくスピッツやスパニエルから作出されたと考えられていますが、はっきりしたことはわかっていません。イギリスの最北端で北海に面しているシェットランド諸島の厳しい自然環境から、動物や植物は小型のものが多く、シェットランドシープドッグも牧畜犬を小型化し誕生したとされています。
1800年代後半、島を訪れたイギリス海軍の兵士が本土に持ち帰ったことがきっかけでイギリスに渡って人気となり、1909年イギリスのケネルクラブで犬種として認められました。当時は「シェットランド・コリー」と呼ばれていましたが、ラフ・コリーとの混同を避けるため現在の名前になりました。イギリスでは、現在でも、家庭犬としてだけでなく、牧羊犬としても飼育されています。
日本では1958年に紹介されて以来、シェルティの愛称で親しまれ、高い人気を誇っています。
ボルゾイ【Borzoi】
原産国 |
ロシア |
体重 |
牡34㎏~48kg、牝27㎏~39kg |
体高 |
牡75 cm~85cm、牝68 cm~78cm |
グルーブ |
10G |
特徴
おだやかな風貌で、気品に富んだ表情をしています。流線形の容姿に長い四肢とがっしりした骨格や筋肉を持ち、体は細長く引き締まっています。俊足で、時速50kmを超えるともいわれる走りはダイナミックで魅力的です。被毛は、絹のように細く滑らかなダブルコートで、ややウェーブするかカールしています。
性格
物静かで穏やかな性格で、飼い主さんに甘えるのが大好きです。しかし猟犬としての気質を持っているため、外に出ると犬以外の他の動物を追いかけ回してしまったりすることもあるので十分注意が必要です。感受性が強く、神経が細かいところもあります。
毛色
毛色は、ブルーとブラウン(チョコレート)以外のすべての毛色の組み合わせが認められています。ホワイト、ブラックの単色や、レモン、レッド、シルバー、ゴールド、セーブルとホワイトの組み合わせ、トライカラーなどがあります。
育て方
大型犬なので、飼育スペースを十分に用意する必要があります。
多くの運動量を必要とする大型犬なので、1日に2回、1回1時間~1時間半程度の散歩が必須です。また、出来るだけドッグランなどの広い場所で思いっきり運動させてあげると良いでしょう。
力が強く、狩猟犬としての気質も持っているので、他の人や動物へ飛びついたりしないよう、子犬の頃からしつけや訓練は十分に行うようにしましょう。感受性が鋭いため、叱ったりするようなしつけは上手くいきません。褒めながら時間をかけて根気よくしつけをすることが大切です。
被毛は長毛のダブルコートですが、長毛種の中では比較的お手入れしやすい犬種です。週に2~3回以上はブラッシングを行って抜け毛を取り除いてください。
気をつけたい病気
胃捻転を起こしやすく、発症したら早く治療しなければ死に至ることもあるので十分に注意が必要です。食後すぐに運動させないことや、一度に多くの水や食事を摂らないことなどで予防することができます。
他に、外耳炎や網膜形成不全、進行性網膜萎縮症、白内障などの眼疾患、皮膚疾患などにもかかりやすいと言われています。
また、大きな体に対して脚が細いので、骨折など脚の怪我をしやすいと言われています。散歩をする際は足場のいい所を選ぶようにしましょう。
歴史
起源は諸説あり、はっきりとわかっていませんが、視覚と俊足を活かして狩りをするサイトハウンドと、ロシア土着の狩猟犬とを掛け合わせた犬と考えられています。13世紀頃には、ロシア貴族たちにうさぎ狩りの猟犬として用いられていましたが、15世紀になるとロシアンシープドッグなどと交配して大型化され、狼猟犬としても働くようになりました。以降、ロシアン・ウルフハウンドと呼ばれ、ロシアの国犬とされて貴族階級の占有物となっていました。貴族だった文豪トルストイもこの犬の愛好家で、その作品にしばしばボルゾイを登場させています。
1917年にロシア革命が起きると、貴族階級の飼育する高級な犬であったため、贅沢品として多くのボルゾイが殺処分されてしまいます。しかし、かつてイギリスやアメリカの上流階級に贈答されていたボルゾイが生存していたため、絶滅の危機を乗り越えることができました。
1936年にロシア語で「俊敏」「機敏」を意味するボルゾイに改名されました。現在でも狩猟犬だけでなく家庭犬としても世界中で人気の犬種です。
サモエド【Samoyed】
原産国 |
ロシア(シベリア) |
体重 |
16kg~30kg |
体高 |
牡54 cm~60cm、牝50 cm~56cm |
グルーブ |
5G |
特徴
骨太で筋肉が発達していて逞しい体つきをしています。立ち耳でアーモンド形の目を持ち、口角が上向きで微笑んでいるように見えることからサモエド・スマイルと呼ばれています。真っ白い美しい被毛は厚いダブルコートで雪のように白くふわふわとしており“最も美しい犬”とも呼ばれます。
性格
賢く温和で辛抱強くとてもフレンドリーなので、子どもの遊び相手も上手ですし、他人や他の犬とも仲よくできます。飼い主には従順で愛情深く接しますが、頑固な一面も見られます。
毛色
毛色は、ピュアホワイト、クリーム、ホワイトビスケット(体の一部に茶色のマークが入っている)があります。
育て方
運動欲求が強くスタミナもあるので、エネルギーを充分に消費できないとストレスをためてしまうことがあります。毎日、朝晩1時間程度の散歩のほかに、ドッグランで思いきり走らせたり一緒に遊ぶ時間を作ると良いでしょう。
性格は穏やかですが力がとても強いので、興奮した時などに人にケガを負わせてしまう可能性があります。子犬の頃からしっかりと行動をコントロールできるようしつけることが大切です。ドッグトレーナーなどの専門家の指導を受けるのも良い方法です。
被毛は厚いダブルコートなので、換毛期になると非常に多くの毛が抜けます。皮膚病予防のためにも、できれば毎日、少なくとも週2~3回はブラッシングをして抜け毛をしっかり取り除くようにしてください。
気をつけたい病気
平均寿命は12~13歳で他の大型犬に比べると寿命が長い傾向があります。純血種ですが、他の犬種に比べて遺伝的な病気が問題視されていません。
胃捻転になりやすいと言われています。短い時間で死に至ることもある疾患で、主な原因は、早食いや食べ過ぎ、食後の激しい運動などです。
中型~大型犬に多く見られる股関節形成不全にも注意が必要です。関節に負担をかけないためには太らせないことが大切です。子犬の頃から歩き方にはよく注意するようにしてください。
他に進行性網膜萎縮症や皮膚炎にもかかりやすいと言われています。
歴史
シベリアの広大なツンドラ地方で、遊牧民族であるサモエド族と共に暮らしてきた土着の犬です。カモシカ猟やオオカミから家族を守るための警護、そり引きなど多くの役割を果たしていました。テントの中では暖房代わりにサモエドに寄り添って寝ていたともいわれています。数世紀にわたって他の民族とは隔離された生活を送っていたので、他の犬種の影響を受けることなく独自の純血性が保たれてきた、原始犬に近い希少犬種として知られています。
19世紀後半にイギリスのある動物学者がサモエド族を訪問し、サモエドを持ち帰ったことで初めてイギリスへ渡りました。その後、寒さへの適応能力と作業効率性を見込まれて、1870年~1912年にかけて実施された北極・南極大陸遠征において大活躍しました。特に1911年探検家アムンゼンと50頭のサモエド犬が南極の地を探検したことで、その存在が世界に知られるようになりました。
イギリスに入った当初は、純白の犬ばかりではなく、黒やブラウンなどの毛色もいましたが、イギリスでは白い毛色が好まれたため、選択繁殖を繰り返す中で白い毛色が主流となりました。1909年には最初のスタンダードが作成され、1912年にイギリスケンネルクラブに正式犬種として公認されています。
日本ではサモエドにジャーマンスピッツを交配して小型化した日本スピッツが人気だった時期がありましたが、騒々しい面を持つために人気が低下してしまいました。近年は、温和で落ち着いているサモエドの人気が高まっているようです。
ジャーマンシェパードドッグ【German Shepherd Dog】
原産国 |
ドイツ |
体重 |
牡30㎏~40㎏、牝22㎏~32㎏ |
体高 |
牡60㎝~65㎝、牝55㎝~60㎝ |
グルーブ |
1G |
特徴
体高と体長の比率は9対10で、腰の下がった格好が特徴的です。オオカミを思わせる強靭な筋肉とがっしりした体型を持っています。俊足で瞬発力とジャンプ力が抜群です。
性格
活発ですが冷静で落ち着いた面もあり、知能が高く自分で考える力を持っています。飼い主や家族には忠実で、甘えん坊な一面もあります。責任感が強く、家族を守ろうとする愛情深さがありますが、初対面の人に対しては警戒心の強い面がみられます。
毛色
毛色はブラック、グレー、レディッシュ・ブラウン、ブラウン、イエローなどですが、鼻は単色のブラックでなければなりません。ホワイトのものはホワイト・スイス・シェパード・ドッグという別犬種としても繁殖されています。
育て方
体が大きく力も強いため、しっかり訓練しないとトラブルを起こす可能性があります。子犬の頃から命令に従うように教えることが大切で、ドッグトレーナーなどプロに預けてきちんと訓練してもらうのが最善です。
問題行動につがなるストレスをためないよう、運動は必須で、散歩は朝晩1時間ずつを目安に行ってください。また、家族とのコミュニケ―ションを大切にする犬種なので、室内で飼うのが望ましく、家にいる時もスキンシップを取るよう心掛けてください。知的な遊びが大好きなので、物を探す遊びなど頭を使う遊びを取りいれると良いでしょう。
短毛ですがダブルコートなので意外と抜け毛があります。普段は週に3回程度、換毛期は毎日、しっかりとブラッシングをしてあげましょう。
気をつけたい病気
特に気を付けなければならない病気は、胃捻転です。胃捻転は胃がねじれて血流が止まってしまう病気で、発症後数時間で命を落とすこともあり注意が必要です。食後すぐの激しい運動や、ドカ食い、大量に水を飲むなど、胃に負担のかかることが原因となるので、食事の量や回数を調節したり、ふやかしたフードを与えたり、食後は休憩させることが大事です。
被毛がダブルコートで暑さには弱いため、夏場は熱中症に気を付ける必要があります。
股関節形成不全は、大型犬が特になりやすい病気の一つです。股関節に痛みが生じるため、腰を振るような歩き方をするようになります。
歴史
その歴史は浅く、1880年頃ドイツ陸軍のマックス・フォン・シュテファニッツ中尉を中心としたグループが、軍隊で伝令、医薬品や弾薬の運搬、捕虜の監視、負傷兵の発見などに活用できる犬の作出を目指し、当時性能が優れると言われていたドイツのチューリンゲン、バーデン、ヴュルテンベルグ地方の牧羊犬を基礎として、慎重な改良の末に完成されたのが現在のジャーマン・シェパード・ドッグです。基礎犬として選ばれた牧羊犬は、現在のジャーマンシェパードと区別するために、原種を意味するオールドという単語を冠にしてオールド・ジャーマンシェパードと呼ばれています。
第一次世界大戦にめざましい活躍を見せて世界中でその名を知られるようになりました。その後も万能使役犬として飼育され、牧羊犬、軍用犬、警察犬、警備犬、番犬、盲導犬、俳優犬など様々な分野で活躍するほか、家庭犬としても各国で愛されています。日本では警察犬として有名です。