ボーダーコリー【Border Collie】
原産国 |
イングランド(スコットランド) |
体重 |
20kg前後 |
体高 |
53cm前後 |
グルーブ |
1G |
特徴
体高よりも体長のほうがやや長く、バランスの良いスマートな体型をしています。素晴らしい運動能力を持っていて、反射神経や瞬発力、持久力に優れています。耳は直立または半直立で、豊かな毛の長い尾は静止している時は垂らして保っています。被毛は豊富で滑らかなダブルコートで、長毛と短毛の2タイプあります。
性格
全犬種の中でもトップクラスの頭のよさを誇ります。作業意欲が強く洞察力があるので、自分で状況を判断して行動することができます。家族には大変愛情深く忠実ですが、他の人や犬には神経質になる場合があります。
毛色
さまざまな毛色が認められいて、ソリッド(単色)カラー、バイカラーのほか、複数の色が混ざりあるカラーも存在します。日本ではブラック&ホワイトのバイカラーが主流です。
育て方
運動能力に優れており非常に活動的であるため、朝夕1時間程度の散歩は欠かせません。知能や作業意欲も高いため、アジリティの要素を取り入れて、頭を使う運動や遊びをしてあげるのも良いでしょう。
従順で賢いので訓練しやすい犬種ですが、あいまいな態度で接したり、甘やかしすぎたりすると無駄吠えなど悪癖の原因となってしまうので、主従関係をしっかり作りながら訓練することが大切です。
長毛・短毛にかかわらずダブルコートで下毛が抜けますので、週に2~3回程度のブラッシングをして抜け毛を取り除いであげてください。
気をつけたい病気
がっしりした体格なので丈夫そうですが、他の犬種に比べて遺伝的な病気が多い犬種です。股関節形成不全、肘関節形成不全(異形成)は比較的多く見られ、遺伝性の素因が認められます。セロイドリポフスチン症(CL病)は脳と神経を侵す遺伝病です。発症率が極めて高いコリーアイ症候群は、眼球を覆う膜の一つ脈絡膜が成長段階で異常を起こす病気です。遺伝的な病気は、未然に防ぐことは難しいですが、病気についての知識を持ち、早期発見・早期治療に努めることが大切です。
歴史
祖先犬は、8世紀後半から11世紀にかけてスカンジナビア半島を中心に活躍したバイキングがイギリスに持ち込んだトナカイ用の牧羊犬だと言われています。土着の牧羊犬やラフコリーの祖先犬と交配され、19世紀末頃にはほぼ現在の形になりました。その後、ラフコリーなどがショー・ドッグとして人気を高めていきましたが、ボーダーコリーは、長い間その作業能力ばかりが高く評価されて牧場に取り残されていました。
最初の犬種標準ができたのは1906年になってからのことです。ドッグスポーツや訓練競技会に参加するようになってボーダーコリーばかりが上位を独占するようになり、その独自性が見直されたのがきっかけと言われています。今ではディスク競技やアジリティなどのドッグ・スポーツ界で大活躍する犬種となっています。
「ボーダー」はイングランドとスコットランドの国境地域・ボーダーの地名からきたという説や国境・辺境という意味からきたという説など諸説あるようです。
ミニチュアピンシャー【Miniature Pinscher】
原産国 |
ドイツ |
体重 |
4kg~5kg |
体高 |
26cm~32cm |
グルーブ |
2G |
特徴
体高と体長がほぼ同じスクエアな体格で、小鹿のようなすらっとした四肢を持ち、よく均整がとれています。体は筋肉質でよく引き締まっており、「ハックニー歩様」と呼ばれる前足を高く上げて歩く姿は優美な印象です。被毛は短毛のシングルコートで、滑らかで光沢があります。ドーベルマンに似た体型と精悍さも備えていますが、まったく異なる犬種です。
性格
好奇心が強く非常にエネルギッシュです。人見知りするので、初めての相手に対しては時に攻撃的になることがありますが、飼い主に対しては、次第に高い忠誠心を示してくれるようになり、べったり甘えるようなこともあるようです。負けん気が強く、大きな犬に対しても向かっていくことがあり、番犬としても優秀な犬種と言われています。
毛色
単色とバイカラー(2色で構成)があり、大きく分けて3種類です。
単色…レッドと呼ばれる赤みがかった茶色から黒に近い茶色まであり、その色の加減によって、ディアー・レッド、レディッシュ・ブラウン、ダーク・レッド・ブラウンなどと呼び分けられています。
ブラック&タン…黒漆色(ラッカーブラック)がベースで、眼の上や喉の下側、パスターン、足、後肢の内側、尾の付け根などにレッドまたはブラウンの斑が入り、胸には2つの三角形の斑が入ります。
チョコレート&タン…チョコレート色がベースで、斑はブラック&タンと同様の部分に入ります。
育て方
活発で運動能力が高いので毎日30分以上の散歩は欠かさずに行ってください。信頼関係が構築出来ているなら散歩以外の運動を取り入れるのも良いでしょう。
小柄ですが意思が強く吠えやすい犬種なので十分にしつけをしないと、見知らぬ人に危害を加えてしまう可能性もあります。子犬の頃から社会性をしっかり身に付けさせることが大切です。
被毛は、短毛のシングルコートなので手入れは楽な方ですが、犬種的に皮膚が弱いため負担が少ないブラシで優しくブラッシングしてあげてください。皮下脂肪も少なく寒さには弱いので、冬場は服を着せたり室温を上げたりして温度調節することが大切です。
気をつけたい病気
大腿骨頭壊死症(レッグ・ペルテス病)は、生後数ヶ月から1歳ほどの成長期にみられる股関節の病気で歩行困難になります。予防が難しい病気ですが、足を引きずったり動きが鈍いなどの症状が見られたら、早めに獣医師に相談しましょう。
耳介辺縁皮膚症は、耳の縁の部分がフケを伴って脱毛したり変色してしまう病気で、耳が大きな犬種に多く見られます。血行をよくすることが予防に繋がると言われています。完治させることは難しい病気ですが、対症療法により症状を緩和することが期待できます。
膝蓋骨脱臼は、後ろ足の膝蓋骨がずれたり外れてしまったりする病気で、通称「パテラ」と呼ばれてます。軽度の場合は、症状が出ないこともありますが、重度になると歩行異常が見られます。予防として、膝への負担を減らすため適正な体重を維持するようにしましょう。
歴史
起源については、はっきりとわかっていませんが、古くからドイツや北欧の国々で害獣駆除を目的に飼育されていたジャーマンピンシャーを基礎犬とし、そこにダックスフント、イタリアングレーハウンドなどが掛け合わされて作出されたと考えられています。
原産国であるドイツでは1895年に犬種クラブが設立し、1900年に初めてドッグショーへ参加したことが確認されています。1920年代に入るとアメリカに渡り、1929年、AKCによって正式に公認されますが、現在のミニチュアピンシャーという犬名になったのは1972年からのことです。原産国であるドイツでは、小鹿に似ていることからレイピンシャーと呼ばれています。
現在でも家庭犬、愛玩犬として世界中で飼育されています。日本でもミニピンという愛称で親しまれています。
ゴールデンレトリバー【Golden Retriever】
原産国 |
イギリス |
体重 |
牡29~34kg、牝25~29kg |
体高 |
牡56~61cm、牝51~56cm |
グルーブ |
8G |
特徴
均整のとれた体は力強く丈夫です。大きめの頭部、垂れ耳、アーモンド形の目が特徴的です。原産国のイギリスで作出されたイギリス系とアメリカで作られたアメリカ系の2タイプがあります。
イギリス系は、瞳や鼻の色が黒色で、アメリカ系と比べて被毛が短く緩いウェーブがかかっています。
アメリカ系は、瞳の色が茶色で、鼻の色は成長と共に黒から茶色に変わっていきます。被毛は柔らかいストレートです。
性格
飼い主に対しては大変愛情深く忠実です。とても穏やかで、他犬や他動物とも友好的な関係を築くことができます。寂しがり屋な面があり、人のそばにいたがるので留守番は苦手です。頭が良く、人の言葉をよく理解し指示に従って行動できるので、盲導犬、介助犬、人命救助犬など、さまざまな分野で活躍しています。また体を動かすことが大好きで、ボールやフリスビー、アジリティなどでその能力を発揮しています。
イギリス系は、アメリカ系よりおとなしい傾向があり、水猟犬として生まれた犬のため水難救助犬として活躍する場合が多いようです。
アメリカ系は、明るく好奇心旺盛で、作業欲求が強いので盲導犬や聴導犬として活躍しています。
毛色
イギリス系は白からクリーム色のプラチナカラーの毛色が特徴です。
アメリカ系はライトゴールドから茶色がかったゴールドまで濃淡の幅が広いです。白の差し毛は胸にだけ許されます。
育て方
活発で体力もあるので毎日2回各60分程度の散歩が必要です。散歩だけでなく、定期的にドッグランへ行って思い切り動ける時間を作ってあげてください。体力の発散だけでなく、社会性を身につける良い機会になります。
孤独な時間が長かったり、運動不足だったりすると問題行動を起こす場合があるので、子犬の頃からきちんとしつけることが大切です。飼い主に忠実なので初心者でもしつけはしやすい方です。
きれいな毛並みを保つためにブラッシングは大切で、特に換毛期は毎日行うようにすると良いでしょう。定期的にシャンプーをして皮膚や被毛を清潔に保つことも大切です。
気をつけたい病気
遺伝的に股関節形成不全を発症しやすいことで知られています。他にもアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患や外耳炎にかかりやすい犬種です。
また、一気にごはんを食べたり、食後に激しい運動をすると胃捻転を引き起こしやすいので要注意です。胃捻転を放置すると、数時間で死に至ることもあるため、早期発見・早期治療が重要です。
歴史
歴史については、はっきりしたことはわかっていませんが、1865年スコットランドに住む愛犬家ツイードマス卿が黄色い毛色のウェービーコーテッドレトリバーとツイードウォータースパニエルを交配させたのが起源だといわれています。その後、アイリッシュセターやニューファンドランドとの交配を重ね、19世紀末頃には現在にほぼ近い形になったようです。当時は、鳥猟犬として、水中からの回収運搬を得意としていました。
1911年に愛犬家クラブが設立され、1913年ケンネル・クラブに登録が開始されました。この頃はイエローレトリバーとも呼ばれていましたが、1920年にゴールデンレトリバーに統一されました。
現在では、水難救助犬、盲導犬や聴導犬として活躍する貢献度の高い犬種ですが、家庭犬としても広く愛され続けています。
外見や性格が似ているラブラドールレトリバーとは、親戚関係にあると勘違いされることも多いですが、全く異なる犬種で歴史的背景も違います。
ヨークシャーテリア【Yorkshire Terrier】
原産国 |
イギリス |
体重 |
2kg~3kg |
体高 |
15cm~18cm |
グルーブ |
3G |
特徴
JKCが公認している犬種の中でチワワに続き2番目に小さい犬種ですが、均整のとれた体型は威厳と気品に満ちています。黒々とした丸い瞳と、まっすぐで絹糸のようにつやのある長い被毛が特徴的です。トリミングでさまざまなヘアスタイルが楽しめるところも人気の理由の一つです。
性格
テリア種独特の気質を持っているので、知的で活発、大変勇敢ですが、頑固な一面もあります。飼い主に対しては愛情深く忠実です。好奇心旺盛なので、遊んでもらうことも大好きです。
毛色
被毛の色が生涯で7回変わると言われていますが、変化の仕組みはまだ解明されていません。その変化の美しさから「動く宝石」と呼ばれています。
色は生まれてから1年ほどかけて変わっていきますが、生まれて間もない頃は漆黒と呼ばれる真っ黒な色で、成長が進むにつれ次第に根元から変化し始めます。
JKCで決められた公認カラーはダーク・スチール・ブルー&タンの1色だけですが様々なカラーが見られます。
育て方
とても活発なので、毎日の散歩は欠かさないようにしてください。
自己主張が強いため、甘やかすとわがままに育ってしまいます。テリア種の特徴を理解し、子犬の頃からしっかりしつけることが大切です。
被毛はシングルコートで、換毛期がないため、放置していると毛玉になったり、ほつれてしまったりします。美しい被毛を保つために毎日のブラッシングと定期的なシャンプーやトリミングは必須です。またシングルコートは暑さ寒さの変化に弱いため、温度管理に注意することが大切です。
気をつけたい病気
気管虚脱は気管が本来の形を保てずにつぶれてしまう病気で、発症すると咳をしたり興奮時にガーガーという呼吸をしたりするようになります。重症になると呼吸困難になったり、熱中症のような状態に陥ったりすることがあるので注意が必要です。
門脈シャントは2歳くらいまでに発症し、無治療の場合は死に至る病気です。食欲不振、おう吐、下痢やふらつきなどが見られたら、早めに受診してください。
大腿骨頭壊死症(レッグ・ペルテス病)は1歳未満の子犬に見られる股関節の病気で、この病気にかかる犬の約半数が、この犬種だと言われています。
膝蓋骨脱臼は後ろ足の膝蓋骨がずれてしまう病気で、小型犬に多く見られます。脱臼しやすい骨格かどうかをチェックしてもらうために、1才前後で検診を受けると良いでしょう。
歴史
19世紀の中頃、イギリス北部ヨークシャー地方で、倉庫や工場などの家を荒らしまわるネズミを駆除ための狩猟犬として作出された犬種です。マンチェスター・テリア、スカイ・テリア、マルチーズなど様々な犬種と交配して作り出されました。当初はボサボサしたワイヤー・ヘアで体重も5kg以上ある固体も多かったようです。狩猟犬として労働者階級の一般市民と共に生活していました。
しかし、交配を進めて犬種として安定化していく過程で、小型化して毛質も滑らかな直毛となり、次第に貴族の間にも広まって大人気となりました。
1862年に”ブロークン・ヘアード・スコッチ・オア・ヨークシャーテリア”と命名されましたが、あまりにも長い名前だったため定着せず、1870年頃から今の”ヨークシャーテリア”と呼ばれるようになったようです。
日本にやってきた正確な年代はわかっていませんが、戦後の高度成長期に人気に火がつき、 ポメラニアンとマルチーズと共に「座敷犬御三家」と称されました。今でもその人気は高く、長年登録数ランキングではトップ10に入り続けています。
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル【Cavalier King Charles Spaniel】
原産国 |
イギリス |
体重 |
5.5kg~8kg |
体高 |
31cm~33cm |
グルーブ |
9G |
特徴
体高より体長が長めです。大きな垂れ耳と大きくて丸い目、平坦な頭頂部に尖った鼻が特徴的です。被毛は絹糸のように滑らかな長毛で、耳と胸、足、尾には飾り毛があります。身のこなしが優雅でバランスのとれた紳士的な表情を持っています。
性格
明るく陽気な性格で、飼い主や家族には愛情深く従順です。大変穏やかで社交的なので、子どもや他の動物とも仲良くすることができます。無駄吠えやかみ癖なども少なく、攻撃性もないので初心者の方にも飼いやすい犬種です。
毛色
ブラック&タン、ルビー(濃い栗赤茶)、ブレンハイム(白色をベースに茶色の模様が入る)、トライカラーの4色があります。
育て方
遊び好きなので、毎日30分くらいの散歩は欠かせません。室内でもおもちゃで一緒に遊んであげると良いでしょう。
基本的に従順で、無駄吠えやかみ癖が少ないので、しつけは楽なほうです。
被毛は長い上毛や飾り毛があり、換毛期は抜け毛が多くなるので、毎日丁寧にブラッシングしてあげてください。美しいスタイルを維持するために月に1回程度トリミングすると良いでしょう。
気をつけたい病気
遺伝的に多いとされているのが僧房弁閉鎖不全症です。高齢になるとどの犬でも起こりやすい疾患ですが、この犬種の場合、早い犬は生後1~2年から起こり6歳以上になると全体の6割以上がかかると言われています。早めの治療が必要なので、定期的に心臓の状態を診てもらうことが大切です。また普段から食生活にも気をつけてください。
他に短頭種気道症候群などの呼吸器疾患や、白内障や結膜炎などの眼疾患にも注意が必要です。
歴史
16世紀ごろ鳥猟犬として活躍していた犬が祖先犬と言われています。
16世紀から19世紀の間、英国王室では小型のスパニエルであるトイスパニエルがたいへん愛されていました。特にチャールズ2世は、あまりに溺愛しすぎたために公務に支障がでるといったエピソードがあるほどでした。
しかし18世紀にヨーロッパで短吻種の犬が流行し、その影響を受けてパグなどとの交配が進み、やがてスパニエル種の短吻タイプ、キングチャールズスパニエルが誕生しました。
19世紀初めに、チャールズ2世が育てていたような長吻タイプへの復活を求めて、アメリカの富豪であるロズウェル・エルドリッジ氏が巨額の懸賞金をかけました。その結果、繁殖家たちがこぞって戻し交配を進め、現在の長吻タイプが誕生し、1945年にイギリスでキャバリアキングチャールズスパニエルという犬種として登録されました。キャバリアとは「騎士」という意味で、イギリスでは現在でも愛玩犬として大変人気の犬種です。
ビーグル【Beagle】
原産国 |
イギリス |
体重 |
7kg~12kg |
体高 |
33cm~38cm |
グルーブ |
6G |
特徴
体は堅く引き締まり、猟犬らしく筋肉質でがっしりとした体格をしています。鼻先まである大きな垂れ耳と、ピンと立った太い尾が特徴的です。被毛は平らで滑らかな短毛が密集しています。優れた臭覚により獲物の匂いを追跡するセントハウンド犬の中でも一番体が小さい犬種です。
性格
明朗快活で遊ぶことが大好きです。大胆で勇敢ですが慎重さも持ち合わせています。群れで狩りをしていた習性から協調性・社会性が高く、他人や他犬とも仲よくできるので多頭飼いに向いています。また穏やかで優しい気質なので、小さい子どものいる家庭にもすぐ溶け込めます。逆にさみしがり屋なので、長時間の留守番などは苦手です。
毛色
代表色は白色、褐色、黒色のハウンドカラー(トライカラー)ですが、他にレッド&ホワイト、レモン&ホワイト(レモンカラー)もあります。尾の先は白色です。成長するにつれて被毛のカラーが変化し模様が変わることがあります。
育て方
体の大きさの割にとてもタフでスタミナがあるので、毎?朝?30分程度の散歩は?かせません。時にはドッグランなどで思い切り?らせたり、一緒にゲーム性のある遊びをしたりするのも良いでしょう。ストレス発散だけでなく、肥満の防止にもなります。
セントハウンド犬で気になるニオイを追わずにはいられない習性をもっているので、子犬の頃から制止をよく教えておくことが大切です。
被毛は短いので手入れは楽です。週に1度くらいブラッシングをしてあげると良いでしょう。
垂れ耳なので通気性が悪く耳のトラブルが起きやすいので、耳の入り口付近をやさしく拭いて清潔を保つとともに、定期的に汚れなどをチェックしましょう。
気をつけたい病気
他の犬に比べて丈夫で、発病率が低いと言われていますが、椎間板ヘルニア、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)、白内障などの目の病気、外耳炎などはかかりやすい犬種です。日常生活の中で違和感を持ったらすぐに病院へ連れて行ってあげてください。また、食欲旺盛な犬種のため、肥満になりやすく、肥満から糖尿病になることもあるので日頃から食事のバランスに気をつけてあげてください。
歴史
起源については、はっきりしたことはわかっていませんが、その歴史は大変古く、紀元前からギリシャでウサギ狩りに使われていたハウンド犬が祖先犬ではないかと言われています。ローマ帝国の侵攻や交易などで、広く欧州に渡ったビーグルの先祖犬たちはヘンリー七世の時代からエリザベス一世の時代にかけて品種改良が進みました。
14~15世紀頃、原産地のイギリスではウサギなどの小動物を狩る猟犬として重宝されていましたが、1860年代アメリカに輸入されると一気に家庭犬としての人気が高まり、ポピュラーな犬種の一つとなりました。
キャラクター・スヌーピーのモデルになったことでも知られています。
ラブラドールレトリバー【Labrador Retriever】
原産国 |
イギリス |
体重 |
30kg~36kg |
体高 |
牡56~62㎝、牝54~59㎝ |
グルーブ |
8G |
特徴
体つきは骨太でがっしりとしており、特に後躯は筋肉たくましく力強い印象です。カワウソの尾ともよばれる根元から太い尻尾が特徴的です。被毛はダブルコートで、どんな天候にもよく耐えられるように短毛が密集しています。
外観重視のイングリッシュタイプ(品評会用)と、能力重視のアメリカンタイプ(作業用)があり、イングリッシュタイプは首や脚、胴体など、全体的に太く短くがっしりしていて、アメリカンタイプは、足が長く胴長ですらっとしているのが特徴です。
性格
優しく温和で従順なので番犬には向きませんが、とても賢いのでしつけがしやすく、訓練などにも耐えて、すぐに覚えることができます。人懐っこいので、家庭犬としてはとても優秀です。一般的にはイングリッシュタイプのほうがやや大人しいと言われています。
毛色
ブラック、イエロー、チョコレートの3種類があります。 胸の部分に通称“メダル”と呼ばれる白い毛が入ることもありますが、これはすべての毛色に認められています。
毛の色によって性格が異なるといわれていて、盲導犬として活躍することが多いイエローは落ち着いた性格で、ブラックやチョコレートは活発な性格といわれることが多いようです。
育て方
活動的で体力もあるので、散歩は最低30分~1時間、1日2回は連れて行くようにしてください。作業犬として活躍してきた犬種なので、頭を使う遊びやトレーニングなども取り入れると良いでしょう。
賢い犬ほどしつけは大切で、やんちゃな子犬期にしっかり「マッテ」や「オスワリ」などの指示やクールダウンのしつけを行うことが重要です。
毛は短毛ながらダブルコートですので、週に数回のブラッシングをしてあげましょう。
気をつけたい病気
特に注意したい病気は胃捻転で、胃の中でガスが拡張することにより起こり、短い時間で死に至ることもある疾患です。主な原因は、早食いや食べ過ぎ、食後の激しい運動などで、ラブラドールレトリバーの食欲旺盛で早食い、動きが活発という特徴と重なって、特に発症しやすいようです。飼い主が生活習慣に気をつけてあげることで防止することも可能です。
股関節形成不全は主に遺伝的要因が強く、生後4か月頃から症状が現れます。腰を左右に振るように歩いたり足をひきずって歩くなどの症状が見られます。成犬になると前十字靭帯断裂や肩や肘の関節疾患にもかかりやすいので注意が必要です。
垂れ耳で外耳炎を起こしやすいので、こまめに耳掃除などの手入れをしてあげましょう。
歴史
起源はカナダ・ニューファンドランド島原産の犬で、16世紀頃にイングランドからこの島へと移住した人々が持ち込んだ使役犬と交配されてセントジョンズレトリバーが生まれたといわれています。当時は漁師の手助けをする水中作業犬として活躍していました。
1820年頃、その能力の高さに目を付けたイギリス貴族が自国へ持ち帰り、繁殖と選択交配が進めて、19世紀の末頃には現在のラブラドールレトリバーの基礎が出来上がったといわれています。その後、作業能力が高く、賢く穏やかな性格からイギリスとアメリカを中心に人気が高まり、やがて世界中へと広がりました。
現在も、盲導犬や、介助補助犬、麻薬探知犬、災害救助犬などで活躍する貢献度の高い犬種ですが、家庭犬としても広く愛され続けています。
外見や性格が似ているゴールデンレトリバーとは、親戚関係にあると勘違いされることも多いですが、全く異なる犬種で歴史的背景も違います。
ポメラニアン【Pomeranian】
原産国 |
ドイツ |
体重 |
1.4kg~2.5kg |
体高 |
18cm~25cm |
グルーブ |
5G |
特徴
スクエアな体型で、体の各部がよく引き締まり、小さいながらも丈夫な犬種です。フォクシーヘッドと呼ばれるキツネに似た頭部に、とがった小さな耳や小ぶりな鼻、つぶらな瞳が特徴的です。被毛はふわふわとした豊かなダブルコートで、尻尾の飾り毛は扇のように広がっていて豪華です。可憐で知性あふれる表情を見せます。
性格
とても活発で賢く、好奇心旺盛です。人間が好きで、特に飼い主に対して強い忠誠心があります。他の犬に対してもフレンドリーに接するので多頭飼育もあまり難しくありません。その一方で繊細で気が強い一面もあり、よく吠える傾向があります。
毛色
毛色のバリエーションがとても多い犬種のひとつです。ホワイト、ブラック、ブラウン、チョコレート、レッド、オレンジ、クリーム、オレンジ・セーブル、ビーバー(濃いベージュ)、ブルー(灰色)などの単色と、ブラック・タン(黒茶)、ウルフ・セーブル(灰に黒の差し毛)、パーティ・カラー(混色)などがあります。
育て方
とても活発で運動好きなので毎日の運動は必須ですが、手足の骨格が細いので、関節に負担をかけないように散歩の量は体調をみながら加減してください。
賢いのでしつけは入りやすいほうです。吠え易く噛み易い犬種ですが、しつけによってある程度は抑えることができます。子犬の頃からきちんとしつけて社会化に努めるようにしてください。
豪華な毛並みを維持するためには、こまめなブラッシングやトリミングが大切です。特に抜け毛の季節には毎日のケアが必要となります。毛量の多さから皮膚病などに気付きにくいので定期的にチェックしましょう。
好奇心旺盛なので誤飲に注意してください。
気をつけたい病気
比較的身体の丈夫な犬種といわれていますが、骨が弱いので膝蓋骨脱臼や大腿骨頭壊死症(レッグ・ペルテス病)など、関節に異常が起きることが多い犬種です。早期発見が大切なので、歩き方がおかしいと感じたら早めに受診するようにしましょう。
気管虚脱など、喉や気管の病気にもかかりやすい傾向があります。命にかかわることもあるので、日頃から呼吸音には注意が必要です。
他にクッシング症候群、水頭症、流涙症などにかかりやすいと言われています。
歴史
祖先犬は、ジャーマンスピッツと考えられています。18世紀頃ドイツ東部とポーランド西部にまたがるポメラニア地方の牧羊・作業犬が、品種改良によりやや小型化され、その後イギリスに渡って愛好されるようになりました。その後、ポメラニアンの存在を広めたのは、イギリスのヴィクトリア女王と言われています。その当時の体重は現在より大きめでしたが、ヴィクトリア女王が展覧会に出陳した小柄なポメラニアンが優勝したことがきっかけで「女王の犬」として人気が爆発し、より小型化の方向に改良・繁殖されるようになりました。日本では1970年代以降、家庭犬・愛玩犬として人気の犬種となりました。
現在でも世界中を魅了している犬種のひとつで、アメリカや日本では常にランキングの上位に名前を連ねています。
標準サイズのポメラニアンよりも明らかに小さいポメラニアンをティーカップポメラニアンと呼ぶことがありますが、日本では正式な犬種として認められていません。
フレンチブルドッグ【French Bulldog】
原産国 |
フランス |
体重 |
10kg前後 |
体高 |
26cm~31cm |
グルーブ |
9G |
特徴
体は筋肉質でがっちりしています。鼻が短い短頭種で、角形の頭部は大きく、下あごが巻き上がっています。大きな立ち耳が特徴的で、コウモリの羽のようなのでバット・イヤーと呼ばれています。被毛は短く、滑らかで光沢があります。他の犬種に比べて白目の割合が多く口も大きいため、表情がとても豊かです。
性格
聡明で活発、愛情深いので飼い主や家族と過ごすことが大好きです。神経質ではないので無駄吠えが少なく、集合住宅でも飼いやすい犬種です。他の犬には友好的ですが、家族以外の人に対してすぐ懐くことは少ないようです。もともと闘犬系の血が入っていることもあり興奮しやすい面があります。
毛色
毛色は、フォーン(明るい茶系)、クリーム、ブリンドル(黒地のベースで、褐色系やホワイトなどの色が入ってくる毛色)、バイド(白地のベースに黒系や茶系の色が入りぶち模様になる毛色)などがあります。
育て方
がに股の体型なので、股関節に負担がかからぬように、適度な散歩や運動を心がけてください。散歩は朝夕20分程度を目安に行うと良いでしょう。とても遊び好きなので、室内でたくさん遊んであげてください。
穏やかで人懐っこい性質なので人間と生活がしやすいものの、ブルドッグ特有の頑固な一面も持っているので、子犬の頃から根気よくしつけて社会性を身につけさせてあげてください。
被毛は短いですが、抜け毛が多いのでブラッシングはこまめに行ってください。暑さ寒さに弱いので必ず室内で飼い、冬は服を着せるなど季節に合わせた工夫が必要です。 顔のしわは汚れがたまりやすいので、定期的に優しくふいてあげると良いでしょう。
気をつけたい病気
短頭種は、生まれつき鼻から喉頭にかけての気道が狭いという身体的特徴を持っているため、短頭種気道症候群には特に注意が必要です。普段からいびきや呼吸音に注意し、頻繁になったら早めに獣医師に相談して下さい。
短毛のため紫外線によるトラブルや接触アレルギーなどの皮膚病や、椎間板ヘルニア、外耳炎、悪性腫瘍(がん)などの病気もかかりやすいことが知られています。
歴史
起源には諸説ありますが、1850年頃に、イギリスで飼われていた小型のブルドッグが織物職人と共にフランスに渡り、そこでパグやテリアなどと交配されて誕生したという説が有力です。当初は鼠の捕殺に用いられていましたが、改良を重ねる中で温和な性格になっていき、愛玩犬として貴族の間で大変人気になりました。この頃は立ち耳と垂れ耳の2タイプがいましたが、アメリカ人のブリーダーがフランスから自国に持ち帰って交配を重ねた結果、立ち耳が犬種の標準とされるようになりました。
日本には大正時代に家庭犬として紹介され、昭和初期にかけて数多く飼育されました。その後、2つの戦争を経て人気は衰えましたが、近年その人気が再燃し、多くの人に愛される犬種へと復活しています。
トイプードル【Toy Poodle】
原産国 |
フランス |
体重 |
4㎏以下 |
体高 |
26㎝~28㎝ |
グルーブ |
9G |
特徴
体長と体高がほぼ同じのスクエアな体型で、細い手足と小さな頭を持ち、とても優雅な印象です。独特のカールを持つ被毛に覆われており、慣例となっているクリップ(刈り込み)が特徴的で、その容姿は高貴で気品に溢れています。
JKCが認めているプードルのサイズは、スタンダード、ミディアム、ミニチュア、トイの4種類ですが、サイズを除いて犬種標準は同じです。公認以外にもタイニープードルやティーカッププードルなど、トイよりも小さなサイズのプードルもいます。
性格
プードルは全般的に、好奇心旺盛で運動能力の高い犬種です。非常に賢く、トイプードルはその中で最も賢いと言われています。飼い主には従順で、家族に対しても愛情深く、他人や他犬にもフレンドリーです。一方で、非常にデリケートな面があり、小型犬になるほど警戒心が強くなる傾向があるようです。
毛色
毛色はブラック、シルバー、ブラウン、アプリコット、ホワイト、ブルー、グレー、クリームなど様々な色があります。プードルの毛色は単色が理想とされていますが、濃淡は認められています。また、毛色によって性格に違いがあるとされています。
育て方
活発で運動能力の高い犬種です。欲求不満でいたずらしないよう、しっかり運動させてあげてください。毎日の散歩以外にも、ドックランなどで自由に走らせたり、ボール投げでレトリーブさせたりするのもおすすめです。スタンダードプードルの場合、大きくても身のこなしが軽いので、ドッグスポーツやアジリティも楽しめます。
非常に賢く記憶力もいい犬種なので、大変しつけやすいと言われています。たくさん褒めてやる気を引き出してあげてください。
シングルコートのため抜け毛は多くありませんが、くるっとカールした被毛が絡まりやすいので、毎日のブラッシングは欠かせません。頭や手足、胸の被毛を丸く大きく残すプードル独特のクリップ(刈り込み)はある程度長さが必要なので、伸ばす時は毛が絡まらないよう特に注意が必要です。
気をつけたい病気
プードル全般において内分泌器官の病気が好発するとされていますが、トイプードルは、特にクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の好発犬種です。元気がなく、多飲多尿などの症状が見られたら、獣医師に診てもらってください。
また、プードルは骨折や関節炎の多い犬種としても知られています。手足の細さの割に体ががっちりして体重があるため、高い所から飛び降りるなどして起きることが多いので、無理のない運動を心がけましょう。
歴史
非常に古い歴史があり、紀元前30年頃のローマ皇帝の記念碑にスタンダードプードルと思われる犬の姿が彫刻されているほどですが、起源について、はっきりしたことはわかっていません。
もともとは鳥獣猟犬に使われた犬で、さまざまなタイプがヨーロッパ各地にいたようです。ドイツを経由してフランスに入った後に、改良と小型化が進められ現在に至っていると思われます。16世紀までのプードルは、現在のスタンダードプードルくらいか、それよりも体が大きかったようです。おもに水猟犬として鴨狩の際に仕留めた獲物を水に入って回収する回収犬として大変重宝されていました。現在では装飾のためになされるクリップですが、水猟犬として活躍していた頃に、水中での動きを容易にするために心臓などのある胸の毛を残して、あとはカットしていたのが始まりと言われています。
16世紀頃から、その容姿を貴婦人たちに愛されるようになり、愛玩犬としても人気となりました。特に、フランスでは王侯貴族の寵愛を受け、のちにフランスの国犬にまでなりました。17世紀頃には、スタンダードプードルを基準に様々なバリエーションのプードルが誕生し、愛玩犬としての人気がより高まっていきましたが、ミニチュア化の経緯についてははっきりとわかっていません。近年では、トイプードルよりさらに小さいタイニープードルやティーカッププードルも登場しています。
トイプードルは、現在でも愛玩犬として世界中で愛され続けていますが、セラピー犬や警察犬としても活躍しています。