日本スピッツ【Japanese Spitz】
原産国 |
日本 |
体重 |
9kg~11kg |
体高 |
牡30cm~38cm、牝は牡よりやや小さめ |
グルーブ |
5G |
特徴
とがったマズルと三角形の立ち耳を持ち、豊富な純白の毛におおわれ、ふさふさとした尾を背負っています。体高と体長の比率は10対11で、全体的なバランスがよく犬種独特の優美さを持っています。
性格
日本で大流行した1950年代当時は無駄吠えがひどいと言われていましたが、その後の選択繁殖による育種でその性格は改善され、近年は穏やかで人なつっこく好奇心旺盛な性格の個体が増えてきています。飼い主や家族に対しては従順で忠実、しっかりしつけをすれば他の動物とも上手に付き合うことが出来ます。
毛色
純白以外のカラーは認められていません。
育て方
活発なので散歩は1日30分以上を2回を目安に行ってください。毎日十分な運動をすると精神的にも安定します。散歩以外にもドッグランで走らせたりドッグスポーツをしたりするのも良いでしょう。
賢く物覚えがよいのでしつけはしやすい犬種です。近年性格はかなり改善されましたが、環境によっては神経質になることがあります。子犬の時から外へ連れ出したり社会性を養うために他の犬と遊ばせるようにすると良いでしょう。
豊かな長毛なので手入れは大変です。ダブルコートで抜け毛が多く、特に換毛期は驚くほど抜けるので、ブラッシングは最低でも週に3~4回は行ってください。
毛が豊富なため、熱中症にならないよう室温を管理し、常に水が飲めるようにしておくと良いでしょう。
気をつけたい病気
流涙症、皮膚病、膝蓋骨脱臼などにかかりやすいと言われています。
流涙症は予防できないので目の周りが変色してきた時は早めに病院に連れていきましょう。
毛が多いためブラッシングを怠ると通気性が悪くなり、膿皮症、落葉状天疱瘡、全身性紅斑性狼瘡、アレルギー性皮膚炎などの皮膚疾患を起こしてしまう可能性があります。定期的なブラッシングなどのお手入れが早期発見・早期治療につながります。
膝蓋骨脱臼は、ひざの膝蓋骨が外れてしまう病気です。予防のために、室内にマットを敷いたり階段の少ない散歩コースを選ぶなど、足に負担をかけないように気を付けることが大事です。
歴史
1920年頃に日本に輸入されてきたと言われていますが、祖先犬については諸説あり詳しいことはわかっていません。ジャーマン・スピッツかアメリカン・エスキモー・ドッグ、ボルピノ・イタリアーノなどの白いスピッツ系の犬種を交配して、小型に改良したものと推定されています。
戦後、毛並みが美しく番犬としても使えることから、お金持ちや愛好家の間で人気が急上昇し、1958年には年間登録犬数でトップを獲得しました。しかし、当時の日本は犬を屋外で飼うことが多かったことやしつけに関する意識が浸透していなかったこともあって、飼いにくさから人気は徐々に衰えていきました。しかし、その後、熱心な愛犬家たちの手によって、吠え癖が少なくなるように長い時間をかけて丁寧な繁殖が行われました。その結果、性格が改良され、大人しく穏やかな日本スピッツがどんどん増えるようになりました。飼いやすくなったため日本での人気も回復傾向にあり、海外での人気も高まっています。
ビションフリーゼ【Bichon Frise】
原産国 |
フランス |
体重 |
5~6kg |
体高 |
30cm以下 |
グルーブ |
9G |
特徴
小型の愛玩犬の中では骨量や筋肉量が豊富で体がしっかりしているので小さいながらも逞しさがあります。快活な歩き方や動作が特徴的です。
豊かな絹糸のような被毛はダブルコートで、上毛は粗めの巻き毛、下毛は細く柔らかな毛です。綿菓子のような丸いカットスタイルはビションフリーゼ独特のもので、パウダー・パフと呼ばれます。
性格
陽気で快活、フレンドリーな性格なので、初めて会う人や他の犬とも仲よくできます。賢く素直なのでしつけはしやすく、飲み込みも早いほうです。反面、わがままなところもあり、自分が中心じゃないと気が済まないというような態度をみせることもあります。
毛色
毛色は純白の1色だけです。子犬の頃は、足の先や耳などに薄いベージュの被毛がある場合がありますが、成犬になるまでにはほとんどが真っ白へと変化していきます。
育て方
小型犬としてはかなり体力があり、体もしっかりしているので、毎日朝夕15分程度の散歩のほか、室内でもおもちゃでたくさん遊んであげてください。
純白の被毛が魅力の犬種ですから、毎日やさしくブラッシングをしたり、定期的にシャンプーをして、美しい状態を維持してあげましょう。パウダー・パフのスタイルは、トリミングのプロでなければ作ることが難しいので、少なくとも月に1度はプロにトリミングしてもらわないと維持できません。
気をつけたい病気
純血種の小型犬ですが、遺伝病が少ないといわれています。
尿路結石症にかかりやすく、尿管が詰まって排尿ができなくなると最悪の場合は短い間に死に至ることもあるので、早期発見が重要です。
膝蓋骨脱臼などの関節のトラブルを起こしやすい犬種なので、滑りやすいフローリングの床にはマットを敷いたり、高いところから飛び降りさせないなどの注意も必要です。
ほかに、皮膚病なども起こしやすいといわれています。
歴史
地中海沿岸で漁の手伝いをしていたウォータースパニエルという犬と白い小型犬を掛け合わせて作られたといわれています。この掛け合わせからビション・タイプ と言われる4種類の犬が作出され、そのうちの1つがのちにビションフリーゼとなるテネリフェという犬です。テネリフェはスペインの船乗りたちの手によってカナリア諸島のテネリフェ島に持ち込まれ、その名前が付けられました。
14世紀には、テネリフェ島からイタリアへ持ち込まれ、イタリアの貴婦人を中心に人気を博し、16世紀にはフランスへ広まり、フランシス1世やアンリ3世など王室にも好まれました。また、さらに小型化が進んで洗練された容姿を持つようになりました。17、18世紀には、ヨーロッパ中の貴族に愛され、多くの画家が王や貴族に付き添うビションフリーゼの姿を描いています。しかし、フランス革命では“貴族の犬”という理由で多くのビションフリーゼが処分されてしまいました。今まで貴族たちによる手厚い保護を受けることにより純粋な血統が守られていましたが、19世紀後半には一般大衆にも飼育されるようになり、様々な種類の犬との掛け合わせが進んで、第1次世界大戦の頃には純粋な血統のビションフリーゼは絶滅寸前となってしまいます。
しかし、フランスの繁殖家によって血統を復元する動きがあり、1933年にはビションフリーゼと改名、翌1934年フランスのケンネルクラブで公認されました。1950年代にアメリカへと紹介され1960年代に「パウダー・パフ」という独特のカットスタイルが考案されてから爆発的な人気を得て、1973年にアメリカンケネルクラブに公認されました。現在は日本でも愛好家を中心に人気が高まっています。
シェットランドシープドッグ【Shetland Sheepdog】
原産国 |
イギリス |
体重 |
6kg~12kg |
体高 |
33cm~41cm |
グルーブ |
1G |
特徴
体長が体高よりやや長く、体は筋肉質です。鼻は長く上品な顔立ちで、耳は前方に向いており先端を前に垂らして半直立を保っています。被毛は手触りの粗い長毛で、首から胸にかけて襟巻のような豪華な飾り毛があります。外見がコリーによく似ているため「小型のラフ・コリー」と呼ばれることもあります。
性格
明朗で活発、飼い主に対しては愛情深く従順です。反面、警戒心が強いため見慣れない人や物音に敏感に反応して吠えてしまうことがあります。もともと牧羊犬ということだけあって大変賢く、訓練性に優れており、責任感も強い犬種です。
毛色
毛色は、セーブル、トライカラー、バイブラック、ブルーマール、バイブルーの5種類が公認されています。よく見かけるのはセーブルとトライカラーです。色の範囲や模様には個体差があるので、同じ毛色でも少しずつ印象が違います。
育て方
活発で遊ぶことが大好きなので、毎日1時間以上の散歩に加えて、ボールを使って遊んだりドッグスポーツに挑戦したりするのも良いでしょう。運動不足でストレスがたまると、無駄吠えの原因となることがあるので注意が必要です。
被毛はダブルコートで、換毛期以外もよく抜けるので、普段は週に1~2度、換毛期は毎日ブラッシングをしてあげてください。胸の飾り毛の部分はもつれやすいので、毛の流れに沿ってやさしくブラシをかけてあげましょう。
気をつけたい病気
コリーアイ症候群は、先天性疾患で網膜剥離や眼房内出血を起こします。また、免疫介在性による角膜炎にかかりやすいといわれており、発症すると角膜に色がつく、涙がふえる、目がしょぼしょぼするなどの症状がみられるようになります。
他に、てんかんや犬家族性皮膚筋炎、淡色被毛脱毛症などの皮膚病、股関節形成不全などの関節疾患も起こりやすい傾向にあります。
歴史
イギリス・スコットランド地方のシェットランド諸島原産の牧羊犬です。その歴史は非常に古く、ラフ・コリーやボーダー・コリーと同じくスピッツやスパニエルから作出されたと考えられていますが、はっきりしたことはわかっていません。イギリスの最北端で北海に面しているシェットランド諸島の厳しい自然環境から、動物や植物は小型のものが多く、シェットランドシープドッグも牧畜犬を小型化し誕生したとされています。
1800年代後半、島を訪れたイギリス海軍の兵士が本土に持ち帰ったことがきっかけでイギリスに渡って人気となり、1909年イギリスのケネルクラブで犬種として認められました。当時は「シェットランド・コリー」と呼ばれていましたが、ラフ・コリーとの混同を避けるため現在の名前になりました。イギリスでは、現在でも、家庭犬としてだけでなく、牧羊犬としても飼育されています。
日本では1958年に紹介されて以来、シェルティの愛称で親しまれ、高い人気を誇っています。
ボルゾイ【Borzoi】
原産国 |
ロシア |
体重 |
牡34㎏~48kg、牝27㎏~39kg |
体高 |
牡75 cm~85cm、牝68 cm~78cm |
グルーブ |
10G |
特徴
おだやかな風貌で、気品に富んだ表情をしています。流線形の容姿に長い四肢とがっしりした骨格や筋肉を持ち、体は細長く引き締まっています。俊足で、時速50kmを超えるともいわれる走りはダイナミックで魅力的です。被毛は、絹のように細く滑らかなダブルコートで、ややウェーブするかカールしています。
性格
物静かで穏やかな性格で、飼い主さんに甘えるのが大好きです。しかし猟犬としての気質を持っているため、外に出ると犬以外の他の動物を追いかけ回してしまったりすることもあるので十分注意が必要です。感受性が強く、神経が細かいところもあります。
毛色
毛色は、ブルーとブラウン(チョコレート)以外のすべての毛色の組み合わせが認められています。ホワイト、ブラックの単色や、レモン、レッド、シルバー、ゴールド、セーブルとホワイトの組み合わせ、トライカラーなどがあります。
育て方
大型犬なので、飼育スペースを十分に用意する必要があります。
多くの運動量を必要とする大型犬なので、1日に2回、1回1時間~1時間半程度の散歩が必須です。また、出来るだけドッグランなどの広い場所で思いっきり運動させてあげると良いでしょう。
力が強く、狩猟犬としての気質も持っているので、他の人や動物へ飛びついたりしないよう、子犬の頃からしつけや訓練は十分に行うようにしましょう。感受性が鋭いため、叱ったりするようなしつけは上手くいきません。褒めながら時間をかけて根気よくしつけをすることが大切です。
被毛は長毛のダブルコートですが、長毛種の中では比較的お手入れしやすい犬種です。週に2~3回以上はブラッシングを行って抜け毛を取り除いてください。
気をつけたい病気
胃捻転を起こしやすく、発症したら早く治療しなければ死に至ることもあるので十分に注意が必要です。食後すぐに運動させないことや、一度に多くの水や食事を摂らないことなどで予防することができます。
他に、外耳炎や網膜形成不全、進行性網膜萎縮症、白内障などの眼疾患、皮膚疾患などにもかかりやすいと言われています。
また、大きな体に対して脚が細いので、骨折など脚の怪我をしやすいと言われています。散歩をする際は足場のいい所を選ぶようにしましょう。
歴史
起源は諸説あり、はっきりとわかっていませんが、視覚と俊足を活かして狩りをするサイトハウンドと、ロシア土着の狩猟犬とを掛け合わせた犬と考えられています。13世紀頃には、ロシア貴族たちにうさぎ狩りの猟犬として用いられていましたが、15世紀になるとロシアンシープドッグなどと交配して大型化され、狼猟犬としても働くようになりました。以降、ロシアン・ウルフハウンドと呼ばれ、ロシアの国犬とされて貴族階級の占有物となっていました。貴族だった文豪トルストイもこの犬の愛好家で、その作品にしばしばボルゾイを登場させています。
1917年にロシア革命が起きると、貴族階級の飼育する高級な犬であったため、贅沢品として多くのボルゾイが殺処分されてしまいます。しかし、かつてイギリスやアメリカの上流階級に贈答されていたボルゾイが生存していたため、絶滅の危機を乗り越えることができました。
1936年にロシア語で「俊敏」「機敏」を意味するボルゾイに改名されました。現在でも狩猟犬だけでなく家庭犬としても世界中で人気の犬種です。
サモエド【Samoyed】
原産国 |
ロシア(シベリア) |
体重 |
16kg~30kg |
体高 |
牡54 cm~60cm、牝50 cm~56cm |
グルーブ |
5G |
特徴
骨太で筋肉が発達していて逞しい体つきをしています。立ち耳でアーモンド形の目を持ち、口角が上向きで微笑んでいるように見えることからサモエド・スマイルと呼ばれています。真っ白い美しい被毛は厚いダブルコートで雪のように白くふわふわとしており“最も美しい犬”とも呼ばれます。
性格
賢く温和で辛抱強くとてもフレンドリーなので、子どもの遊び相手も上手ですし、他人や他の犬とも仲よくできます。飼い主には従順で愛情深く接しますが、頑固な一面も見られます。
毛色
毛色は、ピュアホワイト、クリーム、ホワイトビスケット(体の一部に茶色のマークが入っている)があります。
育て方
運動欲求が強くスタミナもあるので、エネルギーを充分に消費できないとストレスをためてしまうことがあります。毎日、朝晩1時間程度の散歩のほかに、ドッグランで思いきり走らせたり一緒に遊ぶ時間を作ると良いでしょう。
性格は穏やかですが力がとても強いので、興奮した時などに人にケガを負わせてしまう可能性があります。子犬の頃からしっかりと行動をコントロールできるようしつけることが大切です。ドッグトレーナーなどの専門家の指導を受けるのも良い方法です。
被毛は厚いダブルコートなので、換毛期になると非常に多くの毛が抜けます。皮膚病予防のためにも、できれば毎日、少なくとも週2~3回はブラッシングをして抜け毛をしっかり取り除くようにしてください。
気をつけたい病気
平均寿命は12~13歳で他の大型犬に比べると寿命が長い傾向があります。純血種ですが、他の犬種に比べて遺伝的な病気が問題視されていません。
胃捻転になりやすいと言われています。短い時間で死に至ることもある疾患で、主な原因は、早食いや食べ過ぎ、食後の激しい運動などです。
中型~大型犬に多く見られる股関節形成不全にも注意が必要です。関節に負担をかけないためには太らせないことが大切です。子犬の頃から歩き方にはよく注意するようにしてください。
他に進行性網膜萎縮症や皮膚炎にもかかりやすいと言われています。
歴史
シベリアの広大なツンドラ地方で、遊牧民族であるサモエド族と共に暮らしてきた土着の犬です。カモシカ猟やオオカミから家族を守るための警護、そり引きなど多くの役割を果たしていました。テントの中では暖房代わりにサモエドに寄り添って寝ていたともいわれています。数世紀にわたって他の民族とは隔離された生活を送っていたので、他の犬種の影響を受けることなく独自の純血性が保たれてきた、原始犬に近い希少犬種として知られています。
19世紀後半にイギリスのある動物学者がサモエド族を訪問し、サモエドを持ち帰ったことで初めてイギリスへ渡りました。その後、寒さへの適応能力と作業効率性を見込まれて、1870年~1912年にかけて実施された北極・南極大陸遠征において大活躍しました。特に1911年探検家アムンゼンと50頭のサモエド犬が南極の地を探検したことで、その存在が世界に知られるようになりました。
イギリスに入った当初は、純白の犬ばかりではなく、黒やブラウンなどの毛色もいましたが、イギリスでは白い毛色が好まれたため、選択繁殖を繰り返す中で白い毛色が主流となりました。1909年には最初のスタンダードが作成され、1912年にイギリスケンネルクラブに正式犬種として公認されています。
日本ではサモエドにジャーマンスピッツを交配して小型化した日本スピッツが人気だった時期がありましたが、騒々しい面を持つために人気が低下してしまいました。近年は、温和で落ち着いているサモエドの人気が高まっているようです。
ジャーマンシェパードドッグ【German Shepherd Dog】
原産国 |
ドイツ |
体重 |
牡30㎏~40㎏、牝22㎏~32㎏ |
体高 |
牡60㎝~65㎝、牝55㎝~60㎝ |
グルーブ |
1G |
特徴
体高と体長の比率は9対10で、腰の下がった格好が特徴的です。オオカミを思わせる強靭な筋肉とがっしりした体型を持っています。俊足で瞬発力とジャンプ力が抜群です。
性格
活発ですが冷静で落ち着いた面もあり、知能が高く自分で考える力を持っています。飼い主や家族には忠実で、甘えん坊な一面もあります。責任感が強く、家族を守ろうとする愛情深さがありますが、初対面の人に対しては警戒心の強い面がみられます。
毛色
毛色はブラック、グレー、レディッシュ・ブラウン、ブラウン、イエローなどですが、鼻は単色のブラックでなければなりません。ホワイトのものはホワイト・スイス・シェパード・ドッグという別犬種としても繁殖されています。
育て方
体が大きく力も強いため、しっかり訓練しないとトラブルを起こす可能性があります。子犬の頃から命令に従うように教えることが大切で、ドッグトレーナーなどプロに預けてきちんと訓練してもらうのが最善です。
問題行動につがなるストレスをためないよう、運動は必須で、散歩は朝晩1時間ずつを目安に行ってください。また、家族とのコミュニケ―ションを大切にする犬種なので、室内で飼うのが望ましく、家にいる時もスキンシップを取るよう心掛けてください。知的な遊びが大好きなので、物を探す遊びなど頭を使う遊びを取りいれると良いでしょう。
短毛ですがダブルコートなので意外と抜け毛があります。普段は週に3回程度、換毛期は毎日、しっかりとブラッシングをしてあげましょう。
気をつけたい病気
特に気を付けなければならない病気は、胃捻転です。胃捻転は胃がねじれて血流が止まってしまう病気で、発症後数時間で命を落とすこともあり注意が必要です。食後すぐの激しい運動や、ドカ食い、大量に水を飲むなど、胃に負担のかかることが原因となるので、食事の量や回数を調節したり、ふやかしたフードを与えたり、食後は休憩させることが大事です。
被毛がダブルコートで暑さには弱いため、夏場は熱中症に気を付ける必要があります。
股関節形成不全は、大型犬が特になりやすい病気の一つです。股関節に痛みが生じるため、腰を振るような歩き方をするようになります。
歴史
その歴史は浅く、1880年頃ドイツ陸軍のマックス・フォン・シュテファニッツ中尉を中心としたグループが、軍隊で伝令、医薬品や弾薬の運搬、捕虜の監視、負傷兵の発見などに活用できる犬の作出を目指し、当時性能が優れると言われていたドイツのチューリンゲン、バーデン、ヴュルテンベルグ地方の牧羊犬を基礎として、慎重な改良の末に完成されたのが現在のジャーマン・シェパード・ドッグです。基礎犬として選ばれた牧羊犬は、現在のジャーマンシェパードと区別するために、原種を意味するオールドという単語を冠にしてオールド・ジャーマンシェパードと呼ばれています。
第一次世界大戦にめざましい活躍を見せて世界中でその名を知られるようになりました。その後も万能使役犬として飼育され、牧羊犬、軍用犬、警察犬、警備犬、番犬、盲導犬、俳優犬など様々な分野で活躍するほか、家庭犬としても各国で愛されています。日本では警察犬として有名です。
ジャックラッセルテリア【Jack Russell Terrier】
原産国 |
イギリス |
体重 |
5kg~6kg |
体高 |
25cm~30cm |
グルーブ |
3G |
特徴
足が短めなので体高より体長が長く、体つきは筋肉質でたくましい四肢を持っています。賢そうな顔立ちで、ボタン耳と垂れ尾が特徴的です。
被毛は、まっすぐで短毛のスムースコート、長毛と短毛が混ざって生えているブロークンコート、粗い手触りで長毛のラフコートの3タイプがあります。
性格
やんちゃで好奇心旺盛、遊ぶのが大好きです。狩猟犬の資質を持つため賢く勇敢ですが、吠えやすい性質も持っています。また、大胆で負けず嫌いな一面もあり、自分より身体の大きな相手にも怯まず立ち向かって行くようなこともあります。
毛色
主に、ホワイトタン、ホワイトブラック、ホワイトタンブラック(トライカラー)の3色で、ごく稀にホワイトがいます。
育て方
非常に体力があるので毎日の運動は必須です。毎日1時間以上の散歩以外に、ゲーム感覚で出来るスポーツなども取り入れて、たくさん運動させてあげてください。。
賢いのでしつけは比較的容易ですが、愛玩犬の感覚で甘やかして育てると成犬になってから問題になることがあります。子犬の頃から散歩やスポーツなどを通じて一貫性のある態度でしつけ、飼い主に対する服従心をしっかりと養うことが大切です。
猫やハムスターなどの小動物と一緒に過ごさせる場合、追いかける習性があるので注意が必要です。
被毛は、どのタイプもムダ毛を取り除くためにこまめにブラッシングするようにしてください。ブロークンとラフの場合は、定期的にプロのトリマーにプラッキングしてもらうのも良いでしょう。
気をつけたい病気
ほかの犬種に比べて遺伝性疾患などは大変少ないようですが、 大腿骨頭壊死症(レッグ・ペルテス病)、膝蓋骨脱臼などが起こりやすいようです。他にクッシング症候群や糖尿病なども多く、運動に伴うけがにも気をつける必要があります。
非常に運動量があってパワフルなだけに病気の発見が遅れやすいので、日頃から少しの変化にも気づいてあげることが大切です。
歴史
この犬種の始まりは、19世紀の中頃、イギリス・デボン州に住むキツネ狩りの愛好家ジョン(ジャックの別名)・ラッセル牧師が譲り受けたトランプという名の雌のフォックステリアだったと言われています。牧師はトランプをベースに優秀な猟犬を作ろうと考え、ビーグルやボーダーテリアなどを掛け合わせました。その結果、勇敢で気性の強い犬が誕生し、狩猟能力の高さからハンターに高い評価を受けました。当時は犬種名をつけられることなく、見た目そのままのフォックステリアと呼ばれていたそうです。
1883年に牧師が亡くなった後、2つのタイプに分かれます。牧師から継承した真横から見て正方形に近い体型をした系統をパーソンラッセルテリアと呼び、オーストラリアに渡って家庭でも飼いやすいように改良が進み、足がやや短く長方形の体型をしたものをジャックラッセルテリアと呼ぶようになりました。
イギリス原産でありながらイギリスの公認犬種としては登録されていませんが、これは牧師がドッグショーに出すような犬ではなく、猟犬として生きるための犬だからと公認登録を拒んだためと言われています。日本では公認犬種として登録されています。
近年、映画「マスク」などテレビドラマや映画などに多数出演した影響もあって人気が高まっている犬種です。
ダルメシアン【Dalmatian】
原産国 |
クロアチア |
体重 |
27kg~32kg |
体高 |
55cm~61cm |
グルーブ |
6G |
特徴
丈夫で筋肉たくましく、よく均整のとれたスマートな体型です。三角の垂れ耳と、硬く短い白色の毛を覆っている斑点が特徴的です。被毛は短毛のシングルコートで、シルクのように滑らかな手触りです。
性格
非常に体力があり、活発で遊ぶことが大好きです。飼い主や家族には明るく陽気で甘えたがりますが、神経質で警戒心が強いため、他の人や犬に対しては人見知りが強い傾向があります。オスとメスで性格が違うと言われており、オスは甘えん坊で大雑把、メスは優しいですが人見知りで神経質な傾向があるようです。
毛色
白地に黒か茶系の斑点があります。この斑点は、丸く輪郭がはっきりとしていて、くっつかず、体幹部にまんべんなく分布していることが好ましいとされています。生後4週頃まで真っ白な毛色で、その後斑点が現れます。
育て方
非常に体力とスタミナがあるので、毎日朝晩1~2時間程度の散歩は必須です。散歩以外にも、ドッグランなどに出来るだけ連れて行き、自由に走り回れるようにしてあげてください。
神経質で警戒心の強いところがあり、特に他の人や犬に対して人見知りが強いので、思わぬ反応を見せることがあります。子犬の頃からしっかりとしつけや訓練を行うことが大切です。賢く物覚えも良いので、非常にしつけがしやすい犬種ですが、トイレなど室内での生活のしつけは入りにくい傾向があるので、根気よく行ってください。
被毛は、換毛期だけでなく一年中毛が抜けるので、毎日ブラッシングしてあげましょう。
気をつけたい病気
胃拡張・胃捻転症候群は、胃がガスで膨れ上がりねじれてしまうという病気です。明らかな原因は解明されていませんが、食後すぐの運動や早食いなどがリスクを高めるといわれています。
尿酸を分解する力が極端に低いため、尿路結石症にかかりやすいといわれています。日ごろから尿量の変化に注意することが大切です。この病気は再発しやすいので、繰り返さないよう食事管理を徹底する必要があります。また、水を与える際は水道水もしくは軟水にしてください。ミネラルウォーターは発症の要因の一つとなります。
先天性の聴覚障害が起こりやすいといわれています。耳が聞こえにくいことで状況が把握しづらく、恐怖心が強くなりがちで、吠える、咬むなどの問題行動を起こすことがあります。もしも聴覚障害になってしまった場合は、生活に工夫と努力が大切です。視符(ハンドサイン)など、音が聞こえなくてもコミュニケーションが取れるような訓練も必要となります。
ダルメシアンブロンズ症候群はダルメシアン特有の皮膚病です。アレルギーやストレス、環境などが原因で発症すると言われています。予防が難しい病気ですが、事前にアレルギー検査を受けて、日頃からストレスをためないような生活を心がけあげてください。
歴史
起源についてははっきりしていませんが、よく似た犬が古代ギリシャの彫刻に刻まれていることなどから、数千年の歴史を持つ犬種と考えられています。ヨーロッパでは18世紀の中頃からダルメシアンの名で呼ばれており、ユーゴスラビア(現クロアチア)のダルマチア地方に土着していた犬とされていますが、他にもいろいろな説が残っています。このように出自が混乱してしまうのは、ジプシーや旅商人の犬として各地を回っていたために広く記録が残ったからではないかと言われています。その頃のダルメシアンの仕事は、馬と共に走り、荷物を護衛することだったからです。
18世紀のイギリスや19世紀のフランスでは、豪華な馬車の護衛犬として宮廷の貴婦人たちに可愛がられていましたが、20世紀に入ると自動車の普及によって必要とされなくなり、一時ほどの人気はなくなってしまいました。
その後、ダルメシアンを主人公にしたディズニー映画「101匹わんちゃん」のヒットで、一般家庭でも広く飼われるようになりました。アメリカでは以前消防車の伴走をつとめていた関係から、消防署のマスコット的な存在として今も愛されています。
紀州犬【Kishu Inu】
原産国 |
日本 |
体重 |
13kg~27kg |
体高 |
43cm~55cm |
グルーブ |
5G |
特徴
体の均整が良くとれていて、筋肉が発達しています。しっかりとした骨格で、引き締まった体は持久力に富んでいます。立ち耳で、三角形のやや釣りあがった目やくるりと巻いた尾(巻き尾または差し尾)が特徴的です。被毛は短毛のダブルコートで、上毛は硬くまっすぐで下毛は柔らかく密生しています。頬と尾の毛がやや長めです。
性格
落ち着いた性格で、飼い主や家族には忠実で従順です。反面、他人や他犬に対しては警戒心が強く、場合によっては攻撃的になることもあります。紀州犬の気質やしつけ方を理解したうえで、よい環境を整えて、たっぷり愛情を注げば、それ以上の忠誠心を返してくれます。
毛色
毛色は白、赤、胡麻などがありますが、現在は白が圧倒的に多いです。
育て方
運動が大好きで活動的なので、散歩は毎日2回1時間以上を目安に行い、できれば思い切り走り回れるドッグランなどでも運動させてあげると良いでしょう。
警戒心が強いため他の人や犬に飛びかかったりしてしまうことがあります。飼い始めからの徹底したしつけを行い、トラブルが起こらないようにコントロールすることが重要です。また、子犬の頃から多くの経験をさせて社会性を身につけさせるようにしてください。
被毛はダブルコートですが、日頃の手入れは毎日の軽いブラッシングで十分です。春と秋の換毛期にはアンダーコートが大量に生えかわるため、念入りにブラッシングを行って抜け毛を取り除いてください。
気をつけたい病気
平均寿命は13歳で、比較的体が丈夫で後発疾患が少ない犬種だと言われています。しかし、先天的な病気の心室中隔欠損や日本犬に多いアレルギー性皮膚炎などの皮膚疾患、白内障や緑内障などの眼疾患にはかかりやすく、日頃から注意が必要です。
歴史
祖先は紀元前からいた中型犬で、現在の和歌山県や三重県にあたる紀州地方の山岳地帯の猟師たちに銃猟犬として飼われ、猪狩りや一時期は鹿狩りにも用いられていました。弘法大師が聖地を求める行脚の途中で道に迷った時、高野山の霊地へ導いてくれたのが紀州犬だったという言い伝えもあります。1934年、国の天然記念物に指定されました。現在でも猪猟犬として用いられているほか、家庭犬としても愛育されています。
自治体によっては紀州犬を人畜に危害を加える恐れがあるとして、危険犬種(特定犬)として条例に指定している所もありますが、タレント犬として映画やテレビ、CMなどに出演する機会も多く、安定した人気を保っています。近年はアメリカを中心とした海外でも人気が上昇しています。
以前は、紀州と言ってもその地域が広いことから飼育する地方ごとに呼び名が異なり、那智犬、熊野犬、太地犬、奥吉野などと呼ばれていましたが、日本犬保存会に紀州犬として登録されてからは、すべてを紀州犬と呼ぶようになりました。
甲斐犬【Kai Ken】
原産国 |
日本 |
体重 |
12kg~18kg |
体高 |
45cm~56cm |
グルーブ |
5G |
特徴
均整の良くとれた強く丈夫な体で、筋肉もよく発達しています。見るからに精悍で野性的です。立ち耳、巻尾または差尾(鎌の刃のような半円を描く)など原始的な犬の形態が今も保たれている犬種です。被毛は短毛のダブルコートで、上毛は硬くまっすぐで下毛は柔らかく密生しています。
性格
山岳犬の特性を持ち、暑さや風雪にもよく耐えて、持久力、行動力にも富んでいます。ただ一人の主人に生涯仕えようとする「一代一主」の典型的な犬種と言われるほど、飼い主には愛情深く従順ですが、感覚が鋭敏なので他人や他犬、他動物には警戒心を見せ、場合によっては攻撃的な面を見せることもあります。
毛色
被毛は虎毛が基本で、黒虎、赤虎、虎の三種類があります。最も一般的なのは黒虎毛で、黒に近い茶褐色の被毛に虎模様が入っています。幼犬の時は1色のものでも成長につれて虎毛に変化することが一番の特徴です。
育て方
毎日十分な運動が必要で、1日1~2時間が目安となります。ドッグランで思いっきり走り回らせることもおすすめですが、他の犬と仲良くできない犬種なので、しっかりしつけをし、トラブル防止によく注意する必要があります。
もともとが狩猟犬であるため、飼い主以外の人に対しては強く吠えたり、咬みついてしまってトラブルになることがよくあります。無駄吠えや噛み癖がないよう、子犬のころからしっかりとしつけをすることが大切です。まずは忠誠心が強い犬種なので飼い主を「主である」ときちんと認識させることが重要です。生活にけじめをつけ、日々しっかりと訓練を行いながら信頼を作りあげていくと、飼い主の命令に忠実に従うようになります。
短毛種ですが、ダブルコートで抜け毛が多い犬種ですので、こまめなブラッシングが大切です。
気をつけたい病気
優秀な狩猟犬にするために近親交配を避けてきた背景があるので、遺伝的な病気も比較的少なく、かなり丈夫な犬種ですが、中耳炎やアレルギー性皮膚炎などは、かかりやすいと言われています。また、平均寿命12~16歳程度と長生きする傾向にありますが、年齢を重ねていくとさまざまな病気にかかるリスクは高まります。日頃から健康状態をチェックするだけでなく、動物病院で定期的な健康診断も受けるようにしましょう。
歴史
古くから山梨県の甲斐地方の山間の猟師たちに飼われていたマタギ犬で、起源は1700年代頃とされています。猪や鹿狩りに用いられていましたが、集団性に富み、他の犬種を近づけないところがあったため、長くその純血が保たれたと言われています。
1929年に山梨県甲府地方検察庁に赴任した安達太助氏が発見、1931年に甲斐日本犬愛護会(現在は甲斐犬愛護会に改名)が設立されました。1934年に天然記念物に指定されています。登録後にも、鹿を追いかけることのできる強い足腰と、猪にも立ち向かうことのできる気性の荒さを保つように繁殖することが重要とされ、それが守られてきました。
現在では鹿や猪などの狩猟犬として活躍するだけでなく、家庭犬としても飼われるようになりました。
日本犬の名は「◯◯犬(イヌ)」という呼称ですが、甲斐犬の場合「飼い犬(カイイヌ)」と誤解される可能性があるため、例外的に「甲斐犬(カイケン)」と命名されることになりました。